人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ああ、またやってしまった。
と思っても取り返しのつかない事ばかり。

先日フリーマーケットに行った折。
水色のパーカーを安価で購入。
その際、お店の方と少し談笑。

お店の方「そのパーカー、一度しか着ていないので新品同様なんですよ。」
僕「そうなんですか。ありがとうございます。」
お店の方「大切に着て下さいね。色も綺麗ですし、これからの季節にもぴったりです。」
僕「良い色ですよね。」
お店の方「ところで今日は何を探しに来られたんですか?」
僕「寝巻です。」
お店の方「寝巻・・・ですか」

僕の正直さは美徳じゃないかもしれない・・・。

------------------
最近読んだ本を三冊。

吉村萬壱「ボラード病」(文芸春秋)

『ボラード病』吉村萬壱/著 『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』穂村弘/著、タカノ綾/絵 『読み継ぐべき絵本の名作200』CASA BRUTUS_b0145160_1834835.jpg


小説の語り手は少女。
思春期にありがちな違和感と反感の物語。
・・・と思って読んでいました。
ところが途中から語り手が少女ではなく実は大人の女性だった事が判明します。
そこから物語は別の意味合いを帯びていきます。
作品に流れていた違和感は「大人の世界に感じる違和感」ではなく「有無を言わせない同調圧力への恐怖」です。
少し怖い小説でした。



穂村弘/著、タカノ綾/絵「手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)」(小学館文庫)

『ボラード病』吉村萬壱/著 『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』穂村弘/著、タカノ綾/絵 『読み継ぐべき絵本の名作200』CASA BRUTUS_b0145160_1834248.jpg


穂村先生
はじめまして。「終バスのふたりは眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて」の歌、大好きです。
というファンレターをきっかけに始まった、まみからの一方的な手紙たち。
手紙の宛名は「穂村さん」「ほむほむ」「ハロー、金のひつじさん(直毛)」「爪に半月のないあなた」「ほむほむ、まみの内出血」と変わっていきます。
この歌集は穂村弘からまみへ、そして、まみと同じだけの鋭利な感受性を持った人たちへの返信です。



CASA BRUTUS「読み継ぐべき絵本の名作200」(マガジンハウス)

『ボラード病』吉村萬壱/著 『手紙魔まみ、夏の引っ越し(ウサギ連れ)』穂村弘/著、タカノ綾/絵 『読み継ぐべき絵本の名作200』CASA BRUTUS_b0145160_18343928.jpg


こういう本をつい手にとってしまう僕はイタいだろうな。
と、思いつつも手に取ってしまう自分。
CASA BRUTUSの特別編集雑誌です。
中身は非常に充実。
「こんな絵本、知らなかった」「ああ、よみたい」の連続。
レオ・レオニ、ブルーノ・ムナーリ、谷川俊太郎、ジョン・クラッセン、荒井良二などなど。
和洋、ジャンル様々な絵本たち。
カラフルさ、余白の美しさを大切にする絵本の世界。
いい年してうっとりです。

今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。次回は3月30日です・
読んで頂きありがとうございました。

# by mamesyakuhachi | 2015-03-23 01:26 | 複数著者

かんでもかんでも収まらない。

花粉症。

外出中はポケットティッシュが手放せません。
先日はポケットティッシュ6個と箱ティッシュ半分を1日で消費。
でも本番中にクシャミをした事はありません。
不思議です。

-----------------
最近読んだものを何冊か。

若林正恭『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』(ダ・ヴィンチ・ブックス)

『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』若林正恭/著 『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン/著 『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎/著_b0145160_1037144.jpg
先週読了。
お笑い芸人オードリー若林正恭のエッセイです。
タレント本はあまり読んだ事がないのですが、この本は素直に面白いです。
自分が体験し納得した事しか文章にできない、という著者の真面目な姿勢を感じました。

著者は不器用で少し自意識過剰。
誠実さを保ちたいが故に、周りの目ばかりを気にしすぎて自爆。
そして本人のブログ「どろだんご日記」は仲間内から「暗い!」と酷評。
(ちなみに「暗い!」と言われた当時のブログ記事は現在非公開。残念。)
なんか著者は誰かに似てるんだよなぁ・・・・・・・・あ・・・俺だ。



シェル・シルヴァスタイン/著、村上春樹/訳『おおきな木』(あすなろ書房)

『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』若林正恭/著 『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン/著 『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎/著_b0145160_10371264.jpg
不思議な絵本です。読むたびに印象が変わります。
時には愛の残酷さを感じ、時には悲しみの中に希望を感じ、時には一つだけの解釈は何においても存在しないことを教えてくれます。

訳者あとがきにもあるように自由な読み方が出来る絵本です。
手元に置いて、事あるごとに読み返したい一冊です。



平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』(講談社現代新書)

『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』若林正恭/著 『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン/著 『私とは何か 「個人」から「分人」へ』平野啓一郎/著_b0145160_10372772.jpg
小説家平野啓一郎による評論。
人は他人との関係性の中でいろいろな顔を持っています。
仲の良い友達の前では明るい自分、苦手な人の前では無口な自分、大切な人の前では優しい自分、嫌いな人の前では冷たい自分などなど。
それら様々な人格を持つ自分。それを「裏表がある」とか「いい顔しい」とかと否定することなく、自分のもつ「分人」として肯定的に考えていきます。

人間関係につまづいた時に勇気をくれる一冊です。

-----------------
今週はこれにて以上です。
毎週月曜日に更新。
次回は3月23日です。
読んで頂いてありがとうございました。

# by mamesyakuhachi | 2015-03-16 10:35 | 複数著者

西加奈子「サラバ!」(小学館)

『サラバ!』西加奈子/著_b0145160_824986.jpg



泣きました。
とまらなかったです。
この物語を今読むことができて、本当に幸せでした。

西加奈子は決して器用じゃないと思います。
物語の展開に整合性を欠いている所だってありました。

でも、そんなこと、どうでも良かったんです。

この「サラバ!」には著者の懸命さと真摯さ、そして「物語を書きたい」という根源的な強い気持ちに溢れています。
この小説について、僕なりに書きたい事がたくさんあります。
でもたくさん過ぎてとても書ききれません。

この小説は「救い」の物語です。
僕と僕以外のたくさんの読者たち、そして何より著者である西加奈子にとっての「救い」の物語です。

著者に惜しみない拍手と賛辞をおくりたいです。


--------------------------------------------


一つお知らせがあります。

「正論」(産経新聞社発行)という雑誌の今月号に僕の紹介記事が載っています。
(少し個性が強い雑誌ですが…)

作家でコラムニストの上原隆さんの連載「くよくよするなよ」の中で僕が紹介されています。
(記事は340ページ~345ページに掲載)

尺八の出会いと挫折、そして現在のことについて。
上原さんの持ち味である淡々とした感情を抑えた文章で描かれています。

ご興味のある方は読んでみてください。

--------------------------------------------

今週はこれにて以上です。
毎週月曜日に更新。
次回は3月16日。
読んで頂きありがとうございました。

# by mamesyakuhachi | 2015-03-09 02:22 | 西加奈子

先週末は尺八の本番でした。

土曜日は板橋区蓮根にて。竹澤悦子さんと。

『オテル モル』栗田夕起/著 『BESTっス!』ゲッツ板谷/著 『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エァルブルッフ/著_b0145160_9511042.jpg



日曜日は神楽坂にて。栁澤雍好先生、神崎歌子先生と。

『オテル モル』栗田夕起/著 『BESTっス!』ゲッツ板谷/著 『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エァルブルッフ/著_b0145160_9532775.jpg



舞台に立つことは大変ですが、やはり楽しいです。
そしてビールがうまい。

--------
--------
最近読んで印象に残った本を何冊か。

栗田夕起「オテル モル」(集英社文庫)
『オテル モル』栗田夕起/著 『BESTっス!』ゲッツ板谷/著 『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エァルブルッフ/著_b0145160_9542178.jpg


そのホテルは地下にある。
無機質な都会のビルの隙間。その奥深くを入ったところにある。
ホテルの名は「オテル・ド・モル・ドルモン・ビアン」
滞在できるのは日没から夜明けまで。集うのは豊かな眠りを求める宿泊客たち。
そんな奇妙なホテルで働く事になった主人公。
ホテルでの出来事と主人公の心理が不思議な感覚で繋がっていきます。
たいまつのような優しい光を感じる小説です。



ゲッツ板谷「BESTっス!」(小学館)
『オテル モル』栗田夕起/著 『BESTっス!』ゲッツ板谷/著 『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エァルブルッフ/著_b0145160_9544776.jpg



三浦しをん著「本屋さんで待ち合わせ」の中で紹介されていた本書。
立川在住で元不良の著者ゲッツ板谷による爆笑エッセイのベスト版です。
「しゃーねーなー」と言いつつ、個性が強すぎる友人たちに巻き込まれていく著者の日常。
電車で読みながら一人ニヤニヤしてしまいました。



ヴォルフ・エァルブルッフ/著、三浦美紀子/訳「死神さんとアヒルさん」(草土文化)
『オテル モル』栗田夕起/著 『BESTっス!』ゲッツ板谷/著 『死神さんとアヒルさん』ヴォルフ・エァルブルッフ/著_b0145160_9552595.jpg
ある日、アヒルさんの前にあらわれた死神さん。
「死んだらどこにいくんだろう」「何もなくなってしまうのかな」という素朴な疑問にひとつの答えを与えてくれる絵本です。
ラストのページが悲しいですが、僕はすごく納得できました。
「あるがままに受け入れる」という事はこういう事なのかなと思いました。


今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は3月9日です。
読んで頂きありがとうございました。

# by mamesyakuhachi | 2015-03-02 09:45 | 複数著者

読みました。先月発表の芥川賞。
小野正嗣「九年前の祈り」(講談社)

『九年前の祈り』小野正嗣/著 『夏の流れ』丸山健二/著_b0145160_0222014.jpg



九年の時を経て重なり合う二人の女性の思い。痛みと優しさが胸を衝く 〈母と子〉 の物語。』(帯文より)

感想は…えーと…、恥ずかしながら「今の自分では、よく分からなかった」です。
過去と現在の出来事が合わせ鏡の様にリンクしていて、点と点が線になるように進んでいきます。
が、うーむ、難しい…、何も言えない。

以前に聴いたラジオで著名人の方が「芥川賞に連戦連敗」と言ってました。

分かる。芥川賞は難しい…。

僕は芥川賞受賞作を今までにいくつか読みました。
全敗とはいかないまでも負け越し状態です。

でも、「芥川賞だから」というきっかけで読み、興味を抱いた作品もありました。

たとえば56回(1966年下半期)受賞作
丸山健二「夏の流れ」(講談社文芸文庫)

『九年前の祈り』小野正嗣/著 『夏の流れ』丸山健二/著_b0145160_0244635.jpg



「面白い!」と手放しに言える作品ではないのですが、むしろ面白いかどうかよりも物語の描かれ方(緊迫感に相対するような牧歌性)にすごく興味を持ちました。

小説の良さって僕にとっては物語の筋よりも表現方法とかによる所も大きいです。

曖昧模糊とした感情や出来事に、どんな文体で言葉や物語をつけていくのか、というような事。

小説の世界では明快なストーリーや起承転結が物語の邪魔をする事があります。
特に何も起きず、何も訴えていないように書かれている小説。
そんな一見平面的な小説なのに、何故だか心に残る事が沢山あります。

不思議な作品に出会ったとき、最初は「?」でも、そのうち「!?」や「!!」に変わるときがあります。

僕にとって芥川賞はそういう作品に出会わせてくれる文学賞なのかもしれません。

とは言っても、
これからも芥川賞には負け越し状態が続くでしょうね。

まあ、でもいいや。

読みたいから読みます。


今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は3月2日です。
読んで頂きありがとうございました。

# by mamesyakuhachi | 2015-02-23 01:20 | 複数著者