月刊住職



つい先日、東京新聞を読んでいたらこんな記事が。

「『月刊住職』500号突破 刺激的見出しネットで話題」

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記事を読んでみると

「『檀家の死を予見できるか』『僧侶の薬物汚染に寺門の危機』雑誌を開くと、刺激的なタイトルが次々と飛び込んでくる。」

おお、確かに刺激的。

記事によると「月刊住職」の編集長は現役のご住職でもいらっしゃる矢沢澄道さん、とのこと。

こういった刺激的な見出しについては、

「見出しは奇をてらって付けているわけではない。住職らに興味深く読んでもらえるようなテーマを取材しているだけ。」

とのこと。

なるほど、うーむ。
「月刊住職」めちゃくちゃ読みたい・・・。

でも、残念ながらこの雑誌、
「一般書店にはほとんど並んでおらず、全国の住職ら定期購読者が主な対象」とのこと。

・・・・うーん。
どうしたものか、と思っていたら。

なんと、文京区立図書館に所蔵していることが判明。

さっそく借りてきました。
(ちなみに余談ですが、「あの本読みたいけど地元の図書館に無いな~」とか思っていると大抵文京区立図書館にあったりします。・・・住みたいぞ文京区。)

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さっそく見出しを見てみると
「開運詐欺商法に多くの寺院住職が加担しているのは本当か」
「寺の収入では暮らせない住職窮乏」

といった刺激的な見出しから

「住職の切り絵で正月を迎えよう」

というほのぼの記事に、

「どのお寺も必須 マイナンバー対策」
「いまさら師匠に聞けないこと」

というお役立ち情報まで。

実際に読んでみると、タイトルは単なる露悪趣味としてつけているわけではなく、あくまでも興味を持ってもらうための入口という印象。
記事はきちんと取材されて練り上げられていました。

「開運詐欺商法に多くの寺院住職が加担しているのは本当か」(2015年8月号)では、事件被害者を担当する弁護士への取材のみならず、関わりのあったとされるお寺への聞き取りなど、かなり突っ込んだ取材内容になっています。
外部のジャーナリストが作る雑誌ならまだしも、同業者の方がこういった雑誌を作られている姿勢は凄いと思いました。

そして本好きの僕が最も興味深々だった記事が「住職の2014年最も印象深かった本」(2015年10月号)です。

ご住職たちの挙げられた本でやはり多かったのが仏教書。

たとえば

弘法大師御影の秘密」「浄土真宗の儀式の源流『法事讃』を読む」「般若心経の智慧

などなど。

さらには仏教とは違った本で

宇宙物理学の最前線

といった科学書を挙げられるご住職も。
(ちなみにこの「宇宙物理学の最前線」を挙げられたご住職は御年76歳です。・・・す、すごい。)

はたまた、あるいは

役人に学ぶ『闇給与』のススメ」「お寺の収支報告書」「自力本願で税理士

といった会計学に関する本もありました。

ちなみに沢山のご住職が「印象深かった」と挙げられていたのが

葬式仏教正当論」と「教誨師」の二冊でした。


・・・と、ここまで「月刊住職」について書いてきたので、このブログを読んでくださっている皆さんもきっと「月刊住職」を読みたいと思われたんじゃないかと思います。

気になる方は発行している株式会社 興山舎のHPをご覧になってみて下さい。

http://www.kohzansha.com/jimon.html


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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は6月6日です。
読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2016-05-30 00:01 | 複数著者など | Comments(0)

古典文学はとっつきにくい・・・。

そんな気持ちをふっ飛ばす新訳があります。

『宇治拾遺物語(日本文学全集08/池澤夏樹編より)』町田康/訳(河出書房新社)

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2015年9月発行、作家・池澤夏樹の個人編集による日本文学全集、第8巻。
この中の宇治拾遺物語、作家・町田康の新訳が非常に奇抜、ファンキーでぶっ飛んでいます。

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『最高。今日、最高。でもオレ的にはちょっと違う感じの踊りも見たいかな』(213ページ)

『マジ、出家しよ』(259ページ)

『非常に美味だったので出家の身でありながら大量に食べてしまいました。テヘペロ』(290ページ)

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少し抜粋しただけでも、その奇抜さを感じると思います。

ちなみに宇治拾遺物語とは
『13世紀前半頃に成立した、中世日本の説話物語集。「今昔物語集」と並んで説話文学の傑作とされる。』(Wikipediaより)
です。

しかしながら説明文を読んでも、中々読みたいとは思いませんよね。

宇治拾遺物語には『こぶとりじいさん』や『わらしべ長者』といった親しみやすい物語も入っているのですが、いかんせん「宇治拾遺物語」というタイトルからイメージされるのは「難しそう」「古典」、時には「退屈」といったものだと思います。

そもそも古典が退屈だと感じるのは「昔の人の感覚が現代人の感覚とかけ離れていて感情移入できない」という部分だと思います。

そんな中、今回の町田康による新訳は現代的で斬新かつポップ。そして何より現代人が読んでも笑ったりドキドキしたりできる現代語訳になっています。

国から認められていない僧を『インディーズ系の僧侶』(224ページ)と表現したり、貴族の家臣の中で中心的な人物を『チーフっぽい男』(239ページ)と意訳する今回の新訳。

中身が気になる方は河出書房新社のホームページで『奇怪な鬼に瘤を除去される』(こぶとりじいさん)を無料で読むことができます。→こちらです。

この機会にぜひ古典に親しんでみてはいかがでしょうか?

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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は10月26日。
読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2015-10-19 00:01 | 町田康 | Comments(0)

太宰治「東京八景(「走れメロス」より)」(新潮文庫)

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太宰治「斜陽」(角川文庫)

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悩み事をあまりにも正直に言い過ぎて他人から引かれる事があります。
しかもそれほど親しくない人につい言ってしまい、聞いてる方は話の重さに引いている。・・・というよな。

寝る前に思い出し、恥ずかしさで身悶えします。

面倒くさい自我ですね。


・・・ところで、
「太宰治は好き嫌いが分かれる。」
という話や、
「若い人が共感しやすい作家だ。」
という話を聞いたりします。

確かにクセが強いですが、僕としては好きな方です。

先月から今月にかけて何編か読みました。

著者の印象は真面目な人という感じです。


「東京八景」では、食うや食わずの生活や、自分のだらけぶりといった、赤裸々な事を書き連ねてますが、そういった部分に著者の素直さを感じます。
そして、自意識に苦しんでる姿には共感が湧いてきます。

「ダメだなぁ、俺」とか思いながら、つい文章を書いちゃうのは、やっぱり自分を見捨てきれない所なんでしょうか。


この「東京八景」では暗い事を書いてますが、読後は不思議に爽やか。ささやかな東京の風景です。

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「斜陽」は最初は穏やかで、小津安二郎の映画のように叙情的です。美しい母の姿が印象的です。
そして、弟の直治の登場と母の死から大きく物語が動いていきます。背景には戦前と戦後という転換点もあります。

最後の貴婦人だった美しい母の死と価値観の崩壊。
新しい生活を求める娘かず子は悲しさの中に在りながらも、生きる力に溢れています。

僕は読みながら、主人公かず子がなぜ堕落した生活を送る上原に惹かれるのか、馬鹿だと知りながら深みにはまるのか、分かりきれない所もありました。
しかしながら、この「斜陽」には引き込まれる強さがあります。
もの凄くパワーがある作品でした。

そして、この角川文庫版の角田光代の解説が読後の気持ちにピッタリきたので引用します。

「感動というのは、共感や共鳴とイコールだと思っていた」

そんな読後感の「斜陽」でした。

今日はこれにて以上です。
毎週月曜日に更新。次回は10月20日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-10-13 00:09 | 太宰治 | Comments(2)

大学生の4割が読書時間ゼロというニュースを見ました。

まー僕も大学時代なんて読書なんてほぼしなかったので、偉そうなことは言えません。

なのでこの調査結果について、『最近の大学生は・・・』みたいな事を言う資格は、まー無いですし、言っても無意味だと思います。

でも僕から一つ言えるのは、世の中には沢山の本があって、それぞれの人の感性に合う本がきっとあるって事です。そして単なる文章から受けるイマジネーションみたいなものは結構大きいと思います。

例えば「その時、目に映った桜は今までに見た桜の中で最も鮮やかだった」という文章を読んだ時、読者の頭の中にはきっとその人の経験で一番美しい桜を思い浮かべると思うんですよね。

映像や絵が提示されていない時の強みというか、情報量が少ないからこそ得られる思考みたいなものの良さを感じる時があります。

と、まーそんな事を言いつつ、今日も本の紹介です。


中島らも「心が雨宿りする日には」(青春出版社)

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あ、やばい。

好きな作家かもしれない。

という予感がしつつ読んでみたら、あっという間の一気読み。

既に同じ著者の「ガダラの豚」も今読んでる途中です。

以前から「中島らも」という名前だけは知っていて、その名前から漂う雰囲気で僕が好きになりそうな感じを持っていました。

読んでみたら、あーやっぱり好きでした。


この本は著者がうつ病とアルコール中毒をかかえながら通院、入院、退院を繰り返す様を描いた闘病記です。

著者の「うつ」は「最近なんか俺、うつっぽくってさ~」なんて気軽にいうようなヤワなものでありません。
自殺未遂まで行くようなハードなものです。

30歳で一度目のうつ病、40歳手前で再発、42歳で躁病。しかも、それにアルコール中毒。
処方される精神安定剤や抗うつ剤、睡眠薬をストレートのウイスキーで飲み下す。
抗うつ剤では元気は出たが、「自殺する元気」が出るという本末転倒。

ファンキー、そしてクレイジー。

しかし一方で、仕事は順調で充実しています。
劇団に小説、エッセイ、バンド活動、かなりマルチです。

はたから見れば収入もあり、仕事も順調で羨ましがられる存在の著者。
しかしながら、現実はちょっと違っているのかもしれません。

著者は「あの時こうしていれば」という所謂「ればたら」は人生にはないし、考えても無意味だと言います。

「無数の選択肢の中で、自分が選べる選択肢を選んで人生を生きている。選べない選択肢を選ぶことは絶対にない」と言います。

著者は苦しみながらも前を向いています。強い人だなと思います。
「悲壮感などは抱かないように」過ごし、「(他人の)苦しさに比べたら、自分なんて“屁”のようだと思う」「上を見たらキリがない。元気な人はたくさんいるだろう。ただ、下を見てもキリがないのだ。」

著者は自分の置かれている状況を冷静に、時には楽観的に捉えようとしています。


この本は「うつ病」という重いテーマを扱っていますが、辛いエピソードも笑い話で蹴っ散らし、これくらいの事で負けてられるかという熱い気持ちが伝わってきます。

破天荒な闘病記ですが、前向きになれる一冊です。

でもでも、アマゾンのレビューで良いコメントありました。
「笑い飛ばしたあとの小さなため息」・・・なんかやっぱり切なさも感じるんですよね。



今日はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。
次回は3月10日です。

読んで頂きありがとうございました。
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by mamesyakuhachi | 2014-03-03 11:14 | 中島らも | Comments(0)

今日の音楽はthe boomの「砂の岬 Ponta de Areia」です。

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皆さん図書館って利用しますか?
僕は東京の23区内在住で、四つの区の境目あたりに住んでいます。
都内の図書館は区によって利用条件が異なりますが、在住していればもちろん利用できますし、隣接する区に在住していれば借りることができる事が多いみたいです。


今はインターネットで本やCDの検索・予約、取り置きが出来て便利です。人気作品も何人待ちか分かるようになっていたり、自分の借りている本の期限や貸出延長などもインターネットで手軽にできます。

そして、やはり無料なのが嬉しいです。

図書館は趣味での活用の他に、和楽器の古典音楽CDが結構充実しているので仕事でも活用してます。
堅い本の他にも、週刊誌やファッション誌もあり、数は少ないですが漫画もあります。


四つの区の境目に住む僕は四枚の図書館の会員カードを持ってます。この四枚のカードを駆使すればマイナーな本でも、ほぼ探し出せるので重宝してます。

今日聴いてる上記のリンクの曲は図書館でジャケットの印象だけで借りたCDの中の楽曲です。有名なバンドですが、THE BOOMのアルバム「TROPICAL­ISM-0°」です。
このアルバム結構いいです。


図書館行くとつい沢山借りてしまうんですけど、期限までに読まずに返すことも多いです。まぁ無理に読むことはないとは思ってますが。

今日は一番最近(先週)読んだ本を紹介します。


花村萬月「ゲルマニウムの夜」

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主人公の青年・朧(ろう)は一般社会で殺人を犯し、それから逃れるため幼少期を過ごした聖域・修道院に戻ってくる。閉塞的な修道院で起こる嘘や欺瞞、争い、それらを冷めた目線で見ながら、自我を探し出していく。それは朧の創る「王国」という形になっていく。

作品内の描写は生々しく迫力があります。暴力、官能といったいわゆる禁忌とされる事をリアルすぎるほどの筆力で描き出しています。作家の文章力を感じました。
敢えて難しい漢字を使うことによる重厚感もありました。

生々しすぎて気持ち悪くなりそうでしたが、深夜にいっきに読んでしまいました。
(小説にR18指定があるなら、確実に指定になりそうです)

作品で描かれる暴力、虐待や官能。
しかしながら朧が見ているのは、それよりも先にある風景。
この世のと自分のあるべき姿。

筆者はおそらく、陰惨な描写の向うに存在する観念を描き出していきたいのだと感じました。

しかしながら、おぼろげながら分かるものの僕にはよくは分からない所がありました。

その「分からない」っていうのは理解できないということじゃないんですが、確かに存在するであろうその観念の深い所まで手が届かない感じなんですよね。読みが足りないせいでしょうか。

朧の衝動は常軌を逸している、だからといって支離滅裂ではない。

作品は面白く、飽きないんです。でも深い部分にたどり着けない。

う~ん。難しい。

明確な答えや考えが提示できずすいません。
でも一読の価値ありです。

今回はこれにて以上です。

次回更新は8月22日に致します。

読んで頂きありがとうございました。
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by mamesyakuhachi | 2013-08-16 11:22 | 花村萬月 | Comments(0)

この前、自宅近くの書店にいったら良い感じの装丁の文庫がありました。
調べたら、角川文庫のてぬぐいをモチーフにしたシリーズなんですね。

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夏目漱石とか泉鏡花とかありましたが、その中で気になるタイトルの本がありました。

夢野久作「少女地獄」

なんか面白そうです。
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アングラでサブカルっぽいです。(両方死語かな。というか死語も死語でしょうか?)



ところで今日は「ハナレグミ」聞きながら書いてます。
EGO-WRAPPIN'好きなら多分気に入ると勧められたので聞いてみました。

上記リンクの忌野清志郎との「さよならcolor」も良いですし、スカパラとの「追憶のライラック」も良かったです。



今日紹介する本は僕にとって少し危険な感じがする本です。


「死んでも何も残さない 中原昌也自伝」(中原昌也)

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著者は東京・青山にて生まれ、映画と音楽に囲まれ育ちます。
「暴力温泉芸者」というノイズ系のバンドでアメリカデビューし、
その後、小説を書き、三島由紀夫文学賞など3つの文学賞を受賞するという少し変わった経歴です。
この本は中原昌也本人が自身の生い立ちについての談話を新潮社編集部が構成した本との事です。

自伝といっても好き勝手に話した事をまとめてるので、独白という感じでなく、奔放な印象です。
もはや自伝という表現手段も著者の生きざまが出ています。

基本的には「生きてても意味がねえ」とか「世の中くだらねえ」みたいな話です。
多少気が滅入りそうになりましたが、話し方に適当さや、いい加減さが漂っていたりします。
もちろん本人は真面目に語ってるんでしょうけど、ギャグにしか聞こえないところもあって面白いです。
「ゾンビはいい」とか日常会話に出てこないですし。

それで、なぜ僕にとって危険かというと、まともに読んでると「人生くだらねえ」みたいな話から影響受けて厭世的な気分になるんですよね。語り口は本当に面白くて読み飽きなかったんですけど、他人の影響を受けやすい僕は「生きてても意味がねえ」という気分になりそうで、ちょっと危険かなと思いました。

冷静で自分を保つ事ができる人は大丈夫だと思いますので、興味ある方は読んでみて下さい。


この本の中で印象に残った文があったので紹介します。

「観たくないものを観る感じになるのが重要だった」
「わからないものは、みんな偉そうで高尚なものだと思ったり、通向けのものだと思ったりする。この貧困さはなんだろう」

この文章は今も心に引っかかってます。

いろいろ刺激受けて生きて行きたいと思いました。


今日は、この辺で以上です。

次回更新は8月11日に致します。

読んで頂きありがとうございました。
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by mamesyakuhachi | 2013-08-06 15:08 | 中原昌也 | Comments(0)