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読書離れ、なんて言われていますが電車に乗ればチラホラ本を読む人はいるもの。

本好きの僕としては他人が一体何を読んでいるのか、その本のタイトルは何なのか、とても気になるところです。

なので今週は実際に電車に乗って読書している人の本のタイトルを調査してきました!

題して「読書の冬!隣は何を読む人ぞ。~都営大江戸線編~」です。


とある週末の午後、都営大江戸線の新宿駅~汐留駅間に乗車し調べてみました。

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はい。新宿駅到着。

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さあ、先頭電車に乗り込んで読書タイトルチェックです!

【新宿駅~代々木駅】
乗り込むと幸運にもすぐ第一読書家を発見。
見た目は50代ぐらいの男性、カジュアルなジャケット姿ながら、厳しそうな目をして本を読んでいます。
あやしくないように向かいの席にすわり、タイトルをチェックすると……

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「知の操縦法」佐藤優(平凡社)

おおお、雰囲気に合ったビジネス書。
きっとこの男性は向上心と克己心にあふれた大手企業の管理職とみた。

【代々木駅~国立競技場駅】
車両を移動しながら読書家を探すと、いました、いました。
高校生とおぼしき制服姿の女の子。座席に座りながら文庫本を読んでいます。
ああ、これ見たことある装幀。これは売れっ子作家のあの本だ。


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「何者」朝井リョウ(新潮文庫)

知的そうな高校生。
きっと彼女は模試の帰りでしょう。
現代文に自信あるとみた。

【青山一丁目駅~六本木駅】
車内をさらに移動。
余談ですが、この時間(週末午後)の込み具合は数人が座れずに立って乗車するくらいです。
1車両に40人程度が乗車しています。

なので乗客をかき分ける苦労もなく車両間をゆうゆうと移動できます。

移動していると読書家を発見。
スウェード製の高価そうなコート。足元は青いスニーカーで爽やかさを演出。渋い白髪と眼鏡姿。50代くらいの男性です。
本には付箋を付けてます。彼が熱心に読んでいたのは……

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「ビートルズ原論」和久井光司(河出文庫)

きっとこの男性は職業ライター、もしくは雑誌編集者でしょう。きっと。
カバーを外して読んでいて、その武骨さも粋でした。

【六本木駅~麻布十番駅】
続いては20代後半とおぼしき男性読書家を発見。
カジュアルな服装ながら清潔感があり真面目そうです。

そんな彼が読んでいたのは

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「双極性障害の対人関係社会リズム療法 臨床家とクライアントのための実践ガイド」エレンフランク/著、阿部又一郎、他/監修・翻訳(星和書店)

むむ、なんじゃこれは?どうやら専門書のようです。
仕事のためか、はたまた資格取得のためか……?
趣味で読んでいるとすればレベル高すぎ、意識高すぎです。

【赤羽橋駅~大門駅】
肩までのしなやかな黒髪に淡いオレンジの眼鏡。
30代前半くらいの知的な女性。
都会的なスーツ姿。

しかしなぜか本を読みながら呪文のような言葉を呟いている。

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彼女が読んでいたのはバッハの楽譜でした。
(正式な書名は限界まで近づいたものの不明。でも表紙に大きくBACHと書かれていて、装幀も上掲の画像とほぼ一緒)
そうです、彼女は音楽家なんです。きっとリハーサルに行く途中でしょう。がんばれ同業者!

【大門駅~汐留駅】
そろそろ降車駅の汐留。
最後に出会ったのは70代くらいの女性。
フリース地の帽子、ナチュラルさを大切にしている雰囲気の服装。
そんな女性が手にしていたのは……

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「幽霊はお見通し」エミリー・ブライトウェル/著、田辺千幸/翻訳(創元推理文庫)

何やら楽しそうな探偵小説でした。
意外に感性はお若いのでしょう!


……というわけで。

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無事に汐留駅に到着。
余談ですが、1車両につき本を読んでいたのは3~4人くらいでした。
本にブックカバーをつけている割合は5割くらい。
ブックカバーをつけてなくても、表紙がまる見えという場合は少なかったので書名を探るのに結構苦労しました。
(不審者扱いされないかヒヤヒヤしました)

そうか~他人はこんな本を読んでるのか。
という事が分かったものの、じゃあ読もうか……とはならず、結局自分の好きな本を読むんですけどね!

ーーーーーーー

今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は1月23日です。
読んで頂きありがとうございました。



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# by mamesyakuhachi | 2017-01-16 00:01 | 複数著者など | Comments(0)

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ある週末の夜。

時間が少し空いたので都内のカフェで読書タイム。

以前に図書館で見つけて気になっていた本…。

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本を開いたときの優しいぬくもり。

言葉がたちすっと心に入って来る。
そんな予感…。

「星と永遠にひとしく
 彼はいま高みに生きている、生が逃げ去る高みに」

19世紀を生きたニーチェ。
時を越えて心に届く言葉がきっとある。

見上げれば夜空には月。
素敵な充電タイムになりました。

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……いきなり何を書いてるかと言いますと。

知的そうな本を敢えて取り上げ、その本を読まずに記事を書く」というコンセプトで書いてみました。

私、遠藤頌豆36歳はニーチェをまともに読んだことはありません。

じゃあ、上の文章が嘘かというと嘘ではありません。

まず私は現実に土曜日の夜、時間が少し空いたので(別な言い方をすれば暇を持て余し)スタバに行き、「ニーチェ詩集」を持っていきました。

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そして「図書館で見つけて気になっていた本」と書いてますが、これも事実です。
以下のような経緯があります。

まず私は図書館で当初借りる目的だった「30代からのリアル薄毛&白髪を活かすヘアスタイル」を探し出し、カウンターに直行しようと思いました。

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しかし、その本だけをカウンターに持っていくのはどうしても恥ずかしいため、他の棚で何となく目についた(別な言い方をすれば隠れ蓑として役に立つかもと気になった)本、つまり「ニーチェ詩集」(彌生書房)もカウンターに持って行ったのです。

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そしてスタバで本を開きました。

開くだけなら一秒で出来ます。

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そして、本を適当にパラパラめくり、なんとなく深い意味がありそうな言葉を選び引用。

星と永遠にひとしく
 彼はいま高みに生きている、生が逃げ去る高みに

うーん、言葉がすっと入って来る…予感はする。あくまで予感ですが…。
そして時を超えて心に届く言葉が(人によっては)きっとある。

そしてニーチェが19世紀を生きていた情報はウィキペディアでゲット。やばい、便利、ネット。

さあ、これで本を読まずに何となく知的な雰囲気を醸し出しながら、夢に向かって(若干夢見がちに)生きていく風情の読書ブログが完成です。

大事なのは、とにかく「読んだ」とか「読了した」とか言い切らずに、曖昧な言葉を駆使して読む人の想像に任せることが大事。(……と思います。)

みなさんも臆せずに難しそうな本を紹介しまくりましょう!


ちなみに

「読まずに読書家ぶりたい」「本に興味ないが、人から読書家に見られたい」という方には以下の本を参考書としてお勧めします。

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「バーナード嬢曰く。」施川ユウキ(一迅社)

では、また来週月曜日に。

(なお、この記事は書物という敷居の高いものに親しんでもらいたい、という気持ちを目的に書いたものです。どの本にも固有の魅力や位置づけがあると思っていますので、難しそうな本であっても読みたい気持ちを大切にして、様々な本にふれて欲しいと思っています。)




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# by mamesyakuhachi | 2017-01-09 00:01 | フリードリヒ・ニーチェ | Comments(0)

頌春

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新年ですね。

年末に自宅の本を100冊近く処分したのでスッキリしました。

とは言っても、処分したそばからまた新たに本を購入。

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左から
「名画と読むイエス・キリストの物語」中野京子(文春文庫)
「理解フノー」遠藤哲夫/著、田口順二/絵(四月と十月文庫)
「夜と霧」V.E.フランクル/著、霜山徳爾/訳(みすず書房)

など。

そして、嬉しいことに年末に友達から本を貰いました。

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左から
「季節のない街」山本周五郎(新潮文庫)
「バーナード嬢曰く。」施川ユウキ(一迅社)

あと、借りた本も

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左から
「串田孫一 緑の色鉛筆」(平凡社)
「感情類語辞典」アンジェラ・アッカーマン、ベッカ・パグリッシ/共著、滝本杏奈/訳(フィルムアート社)


さて、今年のブログ目標としては、

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「夜と霧」みたいな難しい本から、
「バーナード嬢曰く。」みたいなとっつきやすい本までを紹介しつつ、
紹介の仕方も出来る限り独自のやり方を目指していきたいと思ってます。
(一行も読まずに書評、表紙のみ書評とか)

というわけで本年もよろしくお願いいたします。

(毎週月曜更新)

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# by mamesyakuhachi | 2017-01-02 00:01 | 尺八と生活 | Comments(0)

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みなさんクリスマスは楽しみましたか?

私もクリスマスしましたよ。
チキン食べました。

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……居酒屋で。

「みんなでパーティしたよ!」
「クリスマスに集まって超盛り上がった!」

そんな記事を書きたいところですが、今年は特にないので書けない。
(でも焼き鳥は美味い)

もしかして年末年始の運気が低迷してるのではないか?
こりゃいかん。
というわけで雑誌の「占いコーナー」を読み漁り、今の運勢状況の把握&運気上昇を図りたいと思います。

題して

「雑誌7冊の占いコーナーを読み運気を総合的に判断してみる」

です。

今回取り上げる雑誌7冊は以下です。

1、MEN'S NON‐NO  2017年1月号(集英社)
2、BAILA 2017年1月号(集英社)
3、サンデー毎日 2017年1月1日号(毎日新聞出版)
4、ダ・ヴィンチ 2017年1月号(KADOKAWA)
5、ESSE 2017年1月号(扶桑社)
6、ショパン 2017年1月号(ハンナ)
7、猫びより 2017年1月号(辰巳出版)

では1誌ずつチェックです。(ちなみに私は8/18生まれ獅子座です)

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10代~20代男子のための都会的なファッション雑誌「MEN'S NON‐NO」。
2017年1月号の大見出しは「モテ服、解禁!!」。
勢いのある見出しです。

さっそく「今月の占い」(占星術/水晶玉子)の獅子座をチェック。

「総合運 ★☆☆☆☆ 今、取り組んでいる仕事、課題、義務的なことを徹底的にやらざるをえない状況に追い詰められるかも。/特に肉体改善、体質改善のトレーニングを12月14日の満月から始めるとメンタルとフィジカルの両面の補強ができるはず。」

うーむ、のっけから幸先よくないな。
しかも既に12月14日は過ぎてしまった。
ちなみに「ラッキーアクション」という項目もあり「物マネ練習」が良いらしい。

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20代~30代の女性向けカジュアルファッションを提案するBAILA(バイラ)。
2017年1月号の大見出しは「冬は3枚の『美女感スカート』がすべて解決してくれる!」です。
3枚で足りるんだ。意外に少ない。

占いコーナーは245ページの「鏡リュウジのHoroscope」です。

「愛の星・金星が1月2日まで出会いの位置に。この年末年始は、きらめく恋のシーズンといえるかも。/充分に運動をしたり、温かいものをとったりして。/メールを送信するときや、受け取った内容は何度も確認を。」

恋愛運は良いみたいですね。あとMEN'S NON‐NOで言っていたように運動は大事なのかもしれない。
そしてメール送受信という実用面の運気もカバー(もはやアドバイス?)してくれています。

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40代以降の男女を主なターゲットにしている週刊誌「サンデー毎日」。
2017年1月1日号の大見出しは「『1月』奇襲解散の虚実」。
サブタイトルで「安倍首相が漏らした『不測の事態』発言の思惑」とあり、内容は社会派記事でしょう。(きっと)

雑誌の内容よりも私の興味は占いです。さっそく73ページ「ピンドットの星占い」をチェック。

「すべてがタイミングよく運ぶ。人と出会いにも恵まれて話はすぐまとまる。流れを大事に進めればOK。/街歩きは幸運。最新情報がいち早く入手できる。」

おおー、これはかなり良い運勢です。
ちまちまブログ書いてる場合じゃない。
速攻で街歩きに行かなくては。

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文芸書からマンガまでを幅広く紹介する総合文芸雑誌「ダ・ヴィンチ」。
2017年1月号の大見出しは「BOOK OF THE YEAR 2016」。
1位も気になるところですが、それを読まずに占いコーナーに直行。
176ページ「メグさんの読書占い」。

「〈全体運〉レジャー運良好。遠出や旅行、観劇や映画鑑賞で心を解放して。〈逆境脱出!幸運拡大のキーワード〉編集部宛てのハガキや、読書サイトにレビューを書いて。」

なるほど出かけるのがいいのか。サンデー毎日とかぶってますね。
あとは編集部の目論み通りハガキを書いてみようかな。

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30代~40代の奥様向け雑誌「ESSE」。
2017年1月号の大見出しは「人生が変わる!開運片づけ術」。
照準を年末にバッチリ合わせてます。

占いは201ページ「心理占星学研究科 岡本翔子さんが占う 今月の運勢」。タイトルが長い……。

「複数の星が獅子座を応援します。SNSなどで人を募り、得意なことを教える会を開いてみては。/正月太りの解消にウォーキングもおすすめ 〔ラッキーフード〕健康を願って、ゴマを食べましょう」

うーむ。普通より少し良いくらいか。運動は複数の雑誌で勧めらてますね。
でも逆に言うと決まり文句に近いような疑念も生まれてきました。

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ピアノ音楽誌としてクラシック音楽や演奏会の情報を扱う月刊誌「ショパン」。
2017年1月号の大見出しは「ピアニスト新年の抱負」。
おお、なんという直球勝負。嫌いじゃない。

占いコーナーは110ページ「ミネア・クリスタルのショパンが奏でる今月の運勢」。ピアノ雑誌らしくエレガントなタイトルです。

「忙しいまま年末年始となってしまいますが、あなたにとって、こうした時間が絶好調と言えるのではないでしょうか。楽しいことも満載ですね。音楽も仕事も対人関係も、網の目をくぐるように爆走していくことでしょう。〔音楽アイテム〕スタンウェイ」

文章が少し変な気がしますが…。
網の目をくぐるように爆走……、良いのか悪いのか分かりませんが、勢いは他紙を凌駕してると言えます。

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最後は愛猫家のための隔月雑誌「猫びより」。
「ちょっとお洒落な大人のねこマガジン」がキャッチコピーで、今月の大見出しは「子猫がやってきた!」です。

占いコーナーは「スーザのラッキーキャット占い」。獅子座はサバ白猫になるみたいです。

「身辺整理をして運気上昇へ。/新年もスッキリ&クリーンを実践してラッキーをつかむ流れ。掃除はこまめに。/猫ちゃん柄のパジャマを着て眠ると幸福キャッチ力がアップする効用あり。お試しあれ。」

「運気上昇へ」ってことはあまり現状の運気は良くないみたいですね。
そして「猫ちゃん柄のパジャマ」……、今までの占いのなかでは最も難易度が高く、精神的な強さも必要とされています。

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総合的にまとめてみると、良い運気としてるのが「サンデー毎日」、やや良いのが「ダ・ヴィンチ」「BAILA」「ショパン」、普通ぐらいが「ESSE」「猫びより」、悪い運気が「MEN'S NON-NO」でした。

という事は全体的には「やや良い」というのが年末~新年の運勢みたいですね。
しかしながら、神社のおみくじに凶が少ないように、ちょっと割り引いて考えてみたほうがよさそうです。
なので結局運勢は「普通」っていうとこじゃないでしょうか。

そして運気上昇のために、これら占いをもとに出来ることは、

「街歩きを兼ねたウォーキングで肉体改造。帰宅したらメールを精読し、部屋を綺麗に掃除。その後はスタンウェイ製のピアノが奏でるBGMを聴きながら、ダヴィンチ編集部にハガキを書く。合間にモノマネ練習。お腹が空いたらゴマを沢山たべて、猫ちゃんパジャマで就寝。」

という事になるようです。

さっそく猫ちゃんパジャマを買わなくては。


……それでは皆様、よいお年を。

今年も一年読んで頂きありがとうございました。



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# by mamesyakuhachi | 2016-12-26 00:01 | 尺八と生活 | Comments(0)



今週は今年読んだ本(109冊)の中からベスト5を発表したいと思います。


【第5位】

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「『罪と罰』を読まない」岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美(文藝春秋)

世界的名著「罪と罰」を読まずに読書会をする、という前代未聞の試みを書籍化した一冊。
未読でも何となく知っている「罪と罰」。
わずかな知識と作家4人の想像力で内容を類推していく過程は時に的を射ていたり、時には突拍子もない発想に笑えたりします。
私はこの本をきっかけに「罪と罰」(光文社古典新訳文庫版 全三巻)を読了。
ちなみに読了時間は23時間39分04秒でした。読む以外に何もしなければ1日で読めます。


【第4位】

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「マイ国家」星新一(新潮文庫)

甘いものを食べたら辛いものも食べたくなる。大長編を読んだ後には短編を読みたくなる。
星新一のショートショートは長編の合間に読みたくなる、そんな一冊です。
ある病院の一室。ひとりの老人がベッドに横たわっていた。」(「友情の杯」本書内の1篇)
書き出しから物語を立ち上げる力、短いセンテンスと読み易く簡潔な文体。
「罪と罰」は長すぎるという方に是非。


【第3位】

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「圏外編集者」都築響一(朝日出版社)

TOKYO STYLE 」「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」「独居老人スタイル」など独自の視点で本を作りづける都築響一。
この本は編集者としての都築響一が本作りにこめる気持ちや動機について語った一冊。
「習えること、習えないこと」「検索という麻薬」「やりたいからやるんじゃない」(本書の小見出しより)
くすぶるモヤモヤした気持ちがある人は必読です。


【第2位】

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「へろへろ 雑誌『ヨレヨレ』と「宅老所よりあい」の人々」鹿子裕文(ナナロク社)

福岡県にある宅老所「よりあい」。その施設に引きずり込まれるように関係者になってしまった著者。
理想論や現実性のない夢を語っていた人は離れ、残ったのは一癖も二癖もあるスタッフたち。
将来お世話になるならこんな施設がいいです。


【第1位】

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「諦める力 勝てないのは努力が足りないからじゃない」為末大(プレジデント社)

今年一年読んだ109冊中の1位です。
「努力」や「夢」という事が美化されすぎて「あきらめないで頑張る」という事にとらわれすぎてしまう事も多いと思います。
本書では「諦める」ことを「現実を直視し、主体的に判断する」ことへの一つの方法として捉えています。
「諦めるということはそこで『終わる』とか『逃げる』ということではない。」
世界大会でメダルをとるために短距離走の花形100M走を戦略的に「諦めた」著者の言葉。
現実を直視し、結果を出したいならすべき方法があることを教えてくれる一冊です。

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以上、今年のベスト本でした。
ベスト10以外にも沢山良い本がありすぎて、紹介しきれない……
なんて思ってましたが、やはり紹介したい。
以下紹介文なしの表紙のみで番外編として紹介します。


【ベスト本 番外編】


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「紋切型社会 言葉で固まる現代を解きほぐす」武田砂鉄(朝日出版社



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「悲しみの秘儀」若松英輔(ナナクロ社)



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「あなたの話はなぜ「通じない」のか」山田ズーニー(ちくま文庫)




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「さよなら、ニルヴァーナ」窪美澄(文藝春秋)



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「言葉尻とらえ隊」能町みね子(文春文庫)



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「ガケ書房の頃」山下賢二(夏葉社)



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「路に落ちてた月 ビートたけし童話集」ビートたけし(祥伝社黄金文庫)



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「愛と裏切りの作曲家たち」中野京子(光文社知恵の森文庫)


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皆さんは今年読んだ中で何の本が印象に残ってますか?

今週はこれにて以上です。
このブログは毎週月曜日に更新。
来週は本年最後の更新です。

読んで頂きありがとうございました。





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# by mamesyakuhachi | 2016-12-19 00:01 | 複数著者など | Comments(0)



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先日の土曜日は私がプロデュースを手掛けている練馬春日町図書館コンサートの第七弾でした。

「リコーダー・トリオ 木の音のぬくもり」と題して、リコーダー奏者三名の方に演奏をお願いしました。

写真左から、宮里安矢さん、福岡恵さん、高橋明日香さんです。
ちなみに一番右の私が持っている楽器はバスリコーダーという楽器でアルトリコーダーの1オクターブ下が出る楽器とのこと。
初めて生で見ました。

プログラムはバッハ、モーツァルトから現代のリコーダー曲まで幅広く演奏してくださいました。
リコーダーの音色がコンサートタイトル通り「木の音のぬくもり」を感じさせて、図書館の雰囲気にとても合っていました。

そして、私遠藤はブックトークを担当。
今回は「【本のタイトル当てクイズ】書き出しから推理して書名を当ててみよう。 」と題してお客様にも参加して頂けるクイズ形式でブックトークを行いました。
皆さん真剣にクイズに取り組んでくださったので、とても盛り上がりました。

コンサートにご来場くださったお客様、演奏者とスタッフの方々、ありがとうございました。

ーーーーーー

ところで12月も中旬です。

年末という事で、今年読んだベスト本を発表したいと思います。

今週は前編。

今年読んだ本(数えたら現時点で109冊)の中から10冊を選び、ランキング形式で発表したいと思います。


【第10位】

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「とんび」重松清(角川文庫)

泣ける本を教えて、と言われたら真っ先に勧めるのがこの「とんび」です。
今年読んだ中では、ぶっちぎりで泣けました。
重松清は「流星ワゴン」や「ビタミンF」など映像化作品も沢山あるので知ってはいたのですが、なんとなく俗っぽい雰囲気がありそうで敬遠していました。読んだきっかけは知り合いの読書友達が「ホリエモンが獄中で読んで号泣した」という情報を教えてくれたこと。
読んだら本気で泣きまくり。不器用で真っすぐな主人公……ああ、思い出すだけで泣けてきます。


【第9位】

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「現代アート、超入門」藤田令伊(集英社新書)

美術館が好きで、月1回くらいは展覧会に行きます。でもたまに思うのは「よく分からなかった」という事。特に現代アートの展覧会では理解の範疇を越えるものもあり、自分の感性の乏しさや知識の無さを感じてしまいます。
でも本書を読むとそんな不安も吹っ飛びます。分からない作品は素通りしても構わない、知識は後からついてくる、と語りかける本書は現代アート初心者の私にとってまさに目から鱗。この本を読んで現代アートの展覧会に俄然興味が湧きました。


【第8位】

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「仮釈放」吉村昭(新潮文庫)

池袋にある古書店「ますく堂」の店主が強く勧めていた一冊。店主直筆の帯には「ラスト5ページは最後まで決して読まないで下さい」との文字。
この小説は殺人を犯した無期刑の囚人が、長い刑期を模範囚として過ごした後に仮釈放を許され、社会復帰に向けて歩み始める姿を描いた作品。
ラスト5ページは確かに最後まで読まない方がいい。まさかと思ったけど、何ともやりきれない気持ちになります。内容を書きたいけどネタバレになってしまうのでここでは控えます。


【第7位】

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「学校では教えてくれない 人生を変える音楽」著者複数(河出書房新社)

音楽に関する本を探していて見つけたのが本書。柴田元幸、町田康、辛酸なめ子に又吉直樹。好きな作家のオンパレードにして文章も秀逸。中学生向けではあるけど大人が読んでも充分楽しめる一冊。特に角田光代の文章が好きで何度も読み返してしまいます。
「ほかのだれもわかってくれなくても、みんながださいと言っても、恋人が認めてくれなくても、その本物を手放さないでください。その音楽は、書物より何よりも実際的に、あなたを助ける。困難なときに、救ってくれる。そうしてあなたの一部になる。強く、へこたれない、うつくしい一部になる。」


【第6位】

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「コンビニ人間」村田紗耶香(文藝春秋)

アメトーークの読書芸人の回でもオススメ本として紹介されてましたが、僕も勧めたい一冊です。
この本の魅力は読者に判断をゆだねている部分が多いという事です。
悲劇とみるか喜劇とみるか、希望と見るか絶望とみるか、それらは読者が勝手に判断して良いと思います。
ちなみに私遠藤は希望のある悲劇だと思ってます。

ーーーーーー

以上10位から6位まででした。
来週月曜の更新ではベスト5を発表します。

読んで頂きありがとうございました。




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# by mamesyakuhachi | 2016-12-12 00:01 | 尺八と生活 | Comments(0)



先週の記事では「はるか(『水に眠る』より)」北村薫(文春文庫)を6行(最初3行&終わり3行)だけ読んであらすじを予想してみました。


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読了したので、予想がどれくらい合っていたのか検証してみます。

ちなみに書き出しの3行は

 話を聞いて来たのは、父だった。夕食の膳の、鍋物をつつきながら、
 「モリタが店をしまうんだ」
 「ははあ」

そして終わりの3行は

 はるかの顔は、たんぽぽ色のろうそくの光に、うっすらと染まっている。その無邪気な口元が動き、
 「わたし、大みそかの夜から三日までは、お巫女さんのアルバイトするんです」

でした。
そして私遠藤が予想したあらすじは……


高校生のはるかはいつも笑顔をたやさない優しい女の子。
父の友人のモリタさんが店を閉めると聞いて心を痛めている。
それにモリタさんの家には少し年上のお姉さんがいて、今も仲良く過ごしている。
モリタさんやお姉さんの為に何かしてあげたい。
そうだ、巫女のアルバイトをする事をそれとなくお姉さんに話して一緒に神社で働こう。
はるかは優しく揺れるろうそくの光の中でそっと誓うのだった……。


さあ、どのくらい合っていたのか?

間違っていた部分に取り消し線を引くと……


高校生のはるかはいつも笑顔をたやさない優しい女の子。
父の友人のモリタさんが店を閉めると聞いて心を痛めている。
それにモリタさんの家には少し年上のお姉さんがいて、今も仲良く過ごしている。
モリタさんやお姉さんの為に何かしてあげたい。
そうだ、巫女のアルバイトをする事をそれとなくお姉さんに話して一緒に神社で働こう。
はるかは優しく揺れるろうそくの光の中でそっと誓うのだった……。


ああああ、間違いだらけ。
読んだ6行に書かれていない事で合っていたのは
主人公のはるかが高校生で笑顔たやさない女の子という部分だけでした。

うーん。難しい。

じゃあ、この小説のあらすじはどうだったかというと

書店を営む伊部英造は、パン屋だったモリタの跡地に新規店舗を構えることになった。
店舗の立ち上げに奔走し、従業員の確保に悩んでいた英造は、ある日工事中の新店の前に佇む高校生を見かける。
その高校生の名前は柳田はるか。聞けばこの新しいお店で働きたいという。
明るくひとなっつこい彼女は慣れないアルバイトに四苦八苦しながらも、周りの仲間に支えられながらお店で働くようになる。
やがてお店も軌道に乗り始め、初めてのクリスマスの時期を迎える。
はるかは英造に「クリスマスの飾りつけがしたい」と願い出る。
当初は嫌がっていた英造も、雰囲気が変わった店内の様子と、はるかの気持ちのこもった態度に心を動かされ始める。
そしてクリスマスイブの夜。閉店後の店内ではケーキを囲んでささやかなクリスマスパーティ。
はるかは優しく揺れるろうそくの中で皆と「聖しこの夜」を歌うのだった。

というような感じでした。(巫女の話は大筋とは関係なかったので後述します)


今回の【ほぼ未読書評】では知り合いの方々からも予想コメントを頂いたので、それに関係する部分をすこし書きます。


まずモリタについて。

最初3行に登場するモリタは人物名でもあり屋号でもあるようです。お店の正式名称はとくに言及されてなく、ご主人がなくなった為にお店を閉めるということでした。そして、モリタの存在はこの小説の冒頭にだけ書かれていただけで、その後は特に登場しませんでした。

次に巫女のアルバイトについて。

最後3行にある巫女のアルバイトの話は、年末年始に巫女をする予定のはるかが「聖しこの夜」を歌うのはまずいんじゃないかと本気で心配するというエピソードを表現したセリフです。
この部分は巫女として働くかどうかに力点はなく、はるかの純粋さを印象づけることに力点があるようです。

というような感じでした。
予想コメントを頂いた方々の中に「ろうそく」というキーワードで「クリスマス」を推理された方がいました。
正解でした。すごい。



三週にわたってお送りした【ほぼ未読書評】いかがでしたでしょうか?

意外に反響があったので、時期を空けてまた挑戦したいと思います。

改善点としては1ページでは少し長く、6行では短すぎるかもしれないということ。
そして選書がとても難しいということです。

でも、改善していけば教育の現場や読書会などでも活用できそうです。
今回は中身を推理するということに軸足を置きましたが、逆に書き出しと書き終わりだけを提示して中身を創作するというのも面白いかもしれません。

いろいろ考えればできそうなことは増えそうです。

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今週はこれにて以上です。
このブログは毎週月曜日に更新。
次回は12月12日です。
読んで頂きありがとうございました。


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# by mamesyakuhachi | 2016-12-05 00:01 | 北村薫 | Comments(0)



先週の記事では、青山七恵「新しいビルディング(『お別れの音』より)」を2ページだけ読んであらすじを予想してみました。


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先日読了したので今週は予想がどれくらい合っていたのか確認してみます。

ちなみに私遠藤の予想したあらすじは


都会のオフィス街につとめる20代のマミコ。
無機質なコンクリート建築物に囲まれた生活を送っている。
マミコの最近の悩みは彼氏と親友A子の関係。
以前マミコは結婚を前提に付き合っている彼氏をA子に紹介した。
しかし、それからしばらく経って、偶然街で彼氏とA子が仲良く歩いているところに遭遇してしまう。
当然マミコとA子の関係は悪化し、そのうえ彼氏はマミコを捨てA子と結婚に踏み切ってしまう。
一人残されたマミコ。
勤務先の向かいにあるのは建設中のビル。巨大化するビルは不要になった鉄屑を置き去りにしながら建設されていく。
それはまるで取り残されたロッカーのハンガーのように決して祝福の対象にならない。
気づかないうちに修復できなくなった関係、そして行き場を失った感情。
それらは癒されることもなく、ただ中空を彷徨っている。


でした。

ではどのくらい合っていたのか?

間違っていた部分に取り消し線を引くと……


都会のオフィス街につとめる20代のマミコ。
無機質なコンクリート建築物に囲まれた生活を送っている。
マミコの最近の悩みは彼氏と親友A子の関係。
以前マミコは結婚を前提に付き合っている彼氏をA子に紹介した。
しかし、それからしばらく経って、偶然街で彼氏とA子が仲良く歩いているところに遭遇してしまう。
当然マミコとA子の関係は悪化し、そのうえ彼氏はマミコを捨てA子と結婚に踏み切ってしまう。
一人残されたマミコ。
勤務先の向かいにあるのは建設中のビル。巨大化するビルは不要になった鉄屑を置き去りにしながら建設されていく。
それはまるで取り残されたロッカーのハンガーのように決して祝福の対象にならない。
気づかないうちに修復できなくなった関係、そして行き場を失った感情。
それらは癒されることもなく、ただ中空を彷徨っている。


あああああ……間違いだらけ。

恋敵だと思っていたA子は単に仕事場の無口な先輩だったし。
三角関係のもつれなんて特にないし。
それと細かい部分では、主人公マミコが20代という予想も正解と言えなかったです。(マミコと若い女性社員がタメ口で話す場面があるので若いとは思うのですが、はっきり20代という表記は無い)

うーむ、難しい……


ちなみにこの作品のあらすじは、

入社して3ヶ月のマミコは2人だけの小さな部署で働いている。
先輩社員はフジクラという無口な女性。
無愛想な彼女との気づまりな雰囲気。
不仲ではないが友好的でもない、お互いの存在を必要最低限だけ意識している二人。
いつまでこの状態が続くのだろうとマミコは思っていたが、ある日フジクラから妊娠と退職を告げられる。
マミコはそれを不思議と何の感動もなく受け入れる。
そして退職の日、マミコは特に何の感慨もない。
外を見ると建設中のビル。その建物は不要になった鉄屑を吐き出しながら建設されていく。


という感じです。



予想は残念ながら殆ど当たらなかったものの、この【ほぼ未読書評】やっていて楽しい。

なので今週も別な本に挑戦したいと思います。

しかも!

先週は2ページ読みましたが、今回はハードルを上げて3行×3行の6行書評に挑戦です。


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「はるか(『水に眠る』より)」北村薫(文春文庫)全23ページ


著者のプロフィールを簡単に紹介します。
北村薫(きたむらかおる)は1949年生まれの小説家。大学在学中にミステリクラブに所属。1989年に「空飛ぶ馬」でデビュー。1991年に「夜の蝉」で第44回日本推理作家協会賞を受賞。直木賞最終候補作に過去6度選出。
(ちなみに男性作家です。)

今回はこの作品の書き出し3行と終わり3行の合計6行で作品のあらすじを予想してみます。
(なおネット環境の都合で3行表記にならない場合がありますが、下記引用部は本文のきっちり3行分です)


まず書き出しの3行


 話を聞いて来たのは、父だった。夕食の膳の、鍋物をつつきながら、
 「モリタが店をしまうんだ」
 「ははあ」


そして終わりの3行


 はるかの顔は、たんぽぽ色のろうそくの光に、うっすらと染まっている。その無邪気な口元が動き、
 「わたし、大みそかの夜から三日までは、お巫女さんのアルバイトするんです」


この引用部だけで得られる情報とそこから推理したものを箇条書きにしてみます。

(1)「話を聞いて来たのは、父だった」という文章から、この小説は「父」の子供の視点で描かれている。そして視点になっているがゆえにこの子供が主人公だと思われる。この人物は最後の3行に登場する「はるか」だと思われる。(タイトルが「はるか」だしね。)
(2)登場人物として上記引用部で判明するのは、はるか、はるかの父、モリタの三名。他は不明。
(3)はるかが巫女のアルバイトをするというので、年齢は15歳から22歳だと思われる。そして父の年齢は40歳から50歳くらいだろうか。モリタの年齢は予想が難しいが父がモリタを呼び捨てにしているので同い年か年下だと思われる。
(4)鍋物をしているのと大みそかのアルバイト話が出てるので、季節は冬。しかも12月。
(5)「モリタが店をしまう」と父が言った後に、はるかが「ははあ」と受けているので「やっぱりそうか」と思っていたと考えられる。という事は、モリタの店の状況を以前から知っていたのではないだろか。誰から聞いたのか?ここは新たな登場人物を設定。モリタ家の長女ではるかにはお姉さん的存在の女性から聞いたのだと勝手に予想。
(6)終わり3行で登場する「ろうそくの光」。解釈が難しいが、きっとこれは困窮したモリタ家は電気を節約し、ろうそくの光で凌いでいると思われる…。
(7)最後のはるかのセリフが敬語なので父に向けた言葉ではないと思われる。じゃ誰かというと多分モリタ娘だろう。

これらの情報をもとにあらすじを推理すると以下になりました。


高校生のはるかはいつも笑顔をたやさない優しい女の子。
父の友人のモリタさんが店を閉めると聞いて心を痛めている。
それにモリタさんの家には少し年上のお姉さんがいて、今も仲良く過ごしている。
モリタさんやお姉さんの為に何かしてあげたい。
そうだ、巫女のアルバイトをする事をそれとなくお姉さんに話して一緒に神社で働こう。
はるかは優しく揺れるろうそくの光の中でそっと誓うのだった……。



さあ、どうでしょう?
当たってるんでしょうか?

若干無理やりな感じも否めませんが……


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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は12月5日です。
読んで頂きありがとうございました。


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# by mamesyakuhachi | 2016-11-28 00:01 | 青山七恵 | Comments(0)



小説には無駄な文章や言葉は一切ない。

というような事をどこかで読んだ記憶があります。

素晴らしい小説は僅か一言で複雑な世の中を表現し、読者を物語の世界に引き込んでいく力があります。

……ということは。

小説を少し読んだだけで物語の世界観やあらすじを予想することも可能なのではないか?

無謀にもそんな事を考えました。


そこで今週のブログは、題して 

【ほぼ未読書評】2ページだけ読んで本のあらすじを予想してみる。

です。

ルールは

1、ある作品の最初のページと最後のページの2ページだけを読む。
2、本の帯や紹介文、レビューは一切読まない。
3、上記の1,2の条件で作品のあらすじや世界観を想像し予想する。

以上です。

果たしてそんな事ができるのか?
やってみなきゃ分かりません。

なお今週は予想をするだけの記事です。
来週月曜の更新では実際に全部読んで予想が合っていたかどうか答え合わせをしてみます。

どの小説で行うのか?
かなり迷いましたが短編を選びました。
(意気込みの割に短編とは腰が引けてるって?そんなこと言わないで……)

芥川賞作家である青山七恵の作品です。


「新しいビルディング(『お別れの音』より)」青山七恵(文春文庫)全35ページ

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作家のプロフィールを簡単に紹介します。
青山七恵は1983年生まれの小説家。2007年に「ひとり日和」で芥川賞。2009年に「かけら」で川端賞を最年少で受賞されています。

(ちなみに私遠藤は過去に「すみれ」という小説のみ読了しています。とても面白い作品でした。オススメです。)


では「新しいビルディング」の1ページ目を引用します。


通りの向こうに新しいビルが建つ。
 マミコは毎朝、窓際の花瓶の水換えを済ませると、ブラインドの隙間から建設現場を見下ろす。ビルは日に日に大きくなる。むき出しの鉄骨やはめこまれた窓ガラスを覆う灰色のシートの面積が広くなり、少し前までは遠くの部屋のテレビから聞こえていたような金属を打つ音も、今では電話のベルやパソコンのエラーを告げる電子音と同じ近さで混じり合って聞こえる。
 マミコは昼食の帰りに、必ずその建設現場の前まで火花やほこりや乾ききっていないコンクリートの匂いを吸いに行く。それはお寺の線香の匂いに少し似ている。
 歩道と建設中のビルのあいだは、蛇腹になった金網のフェンスにさえぎられていた。網目からは男たちの作業服の汚れ具合だとか、尻のポケットにぶらさがる携帯電話の飾りのチェーンなどをじっくり観察することができた。ただし彼らの顔は一様に黒っぽく、


そして最後のページを引用します。


あの鉄のかたまり、どこにも使われなかった部品たちはどこへ行ったのだろう。しかるべき場所にはめこまれ、溶接され、固定されるはずだった鉄のかたまりたちは。巨大なビルの一部となって、何十年、何百年も人々を出し入れする偉大な役割を全うできたかもしれないのに、おそらく今ではもう、誰の目にもつかない作業場の片隅で余り物を運ぶトラックを待っているだけだ。
 帰り支度をしてジャケットを着ようとハンガーラックに近づいたとき、二つ並んでいるはずのハンガーが一つなくなっていることに気づいた。ロッカーの中にもなかった。私物だったんだ、と思った。
 マミコはジャケットを着ながら、今ごろ花束やケーキの包みに挟まれているハンガーと、目の前で揺れているハンガーの違いを思い出そうとする。それから、そこにかかっていた彼女の上着の色や履いていたパンプスや、持っていたカバンの形まで詳しく思い出そうとする。
 窓の外で、ビルはまだ音を立てていた。何か一つを思い出そうとするたび、その音は強く耳の中に響いて、この数ヶ月間の二人の沈黙だけを置き去りにしていった。
 マミコはあきらめて、部屋を出た。


この2ページから得られる情報とそこから推理したものを箇条書きにしてみます。


(1)主要な登場人物にマミコと、もう一人の女性(最後のページで書かれた「彼女」。仮にA子とする)が登場する。
(2)主な舞台ははおそらく勤務先。そして通りを挟んで建設中のビルが「巨大なビル」なので都会のオフィス街と思われる。
(3)マミコは毎朝花瓶の水換えをしているので、おそらくまだ入社したばかりか若いのだと思われる。(偏見かもしれないが)
(4)A子は小説のなかで会社を辞めている。しかも寿退社ではないだろうか。「花束やケーキの包みに挟まれているハンガー」の「花束」と「ケーキ」は退職の挨拶をした際に貰ったものだろう。
(5)工事現場で不要になった「鉄のかたまり」や「使われなかった部品」とマミコのハンガーは相似形をなすものと思われる。どちらも取り残された寂しさを感じさせる。
(6)「この数か月の二人の沈黙」とあるのでマミコとA子は不仲だと思われる。しかも「この数か月」とあるので以前は仲が良かった可能性がある。でも何らかの理由(おそらく男がらみ。たぶん相手はA子の結婚相手←ほぼ妄想)で不仲になったと思われる。
(7)主人公の名前が「マミコ」でカタカナになっている。硬質な印象を与えるためにカタカナにしたのではないだろうか。オフィス街の工事現場、無機質なコンクリート、巨大なビル、それらのイメージを大切にするためのカタカナ表記だと思われる。


これらの情報をもとにあらすじを推理すると以下になりました。


都会のオフィス街につとめる20代のマミコ。
無機質なコンクリート建築物に囲まれた生活を送っている。
マミコの最近の悩みは彼氏と親友A子の関係。
以前マミコは結婚を前提に付き合っている彼氏をA子に紹介した。
しかし、それからしばらく経って、偶然街で彼氏とA子が仲良く歩いているところに遭遇してしまう。
当然マミコとA子の関係は悪化し、そのうえ彼氏はマミコを捨てA子と結婚に踏み切ってしまう。
一人残されたマミコ。
勤務先の向かいにあるのは建設中のビル。巨大化するビルは不要になった鉄屑を置き去りにしながら建設されていく。
それはまるで取り残されたロッカーのハンガーのように決して祝福の対象にならない。
気づかないうちに修復できなくなった関係、そして行き場を失った感情。
それらは癒されることもなく、ただ中空を彷徨っている。


だと、無謀にも予想してみました。
うーむ、無理やりか?

来週は実際の作品を全ページ読み、果たして予想があっているかを検証してみます。

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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は11月28日です。
読んで頂きありがとうございました。







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# by mamesyakuhachi | 2016-11-21 00:01 | 青山七恵 | Comments(0)



先週の記事 【文学のタイトル当てクイズ】紹介文から推理して書名を推理してみよう! の最終問題の解答から。

以下の紹介文から書名を推理するというのが問題でした。

人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るのか。知恵遅れの長男と事故による障害で車椅子に乗る次男―二人の息子を同時に自殺で失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平とは?魂の癒しを探り、生きることへの励ましに満ちた感動的な長編小説。(後略)」

この紹介文から書名が分かった方はいるでしょうか?


正解は


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「人生の親戚」大江健三郎(新潮文庫)でした。



ところで皆さん京都は好きですか?

僕は好きです。

どうしても行きたい書店が京都にあります。


この記事で紹介されている遠藤書店(京都市南区)。

店内で居酒屋営業をされている書店だそうです。

店内で飲食できる書店やブックカフェは都内にも沢山ありますし、個人的に好きなお店も多いです。
でも、総じてそういったお店はオシャレな内装で洗練された雰囲気というのが多い印象です。

そんな中で上掲記事の遠藤書店は手作り感&DIY感あふれる庶民的で赤ちょうちん的な雰囲気。
そこにはオシャレさや洗練された雰囲気なんてものはありません。

記事によれば、居酒屋営業に至った経緯がそもそも書店経営の行き詰まりとの事。
その打開策として行っている居酒屋営業だそうなのですが、僕はその「必死さ」と計らずも醸し出された唯一無二感に感動し「ぜひ行きたい!」と思うようになりました。
(しかも同じ「遠藤」だし!)

というわかで目下、京都旅行を計画中。

さっそく旅行パンフレットを沢山ゲット。


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調べてみたら、新幹線往復&ホテル付で、安い時期を選べば2万円を切るプランもありました。

うーむ、こりゃ行くしかないでしょ!


【遠藤書店 書店データ】

《住所》
京都府京都市南区東九条北烏丸町33(グーグルマップ
《営業時間(居酒屋営業時間)》
16:00~23:00(LO22:30)
《定休日》
第二・三木曜日

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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は11月21日です。

読んで頂きありがとうございました。





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# by mamesyakuhachi | 2016-11-14 00:01 | 複数著者など | Comments(0)