ビブリオバトル。

いわゆる書評合戦。

以前から出ようかなと思っていた所、来月たまたま近所の図書館にて開催されるとのことで参戦してきます。

今から何の本を紹介するか迷ってます。

自分の好きな本。紹介したい本。他人の興味を惹きそうな本。
それぞれ似てる様で違うかもな…と考えると選書に迷います。

重い本は聞く方が疲れるし、軽い本だと対戦者と見劣りするかもしれない…。

どうしようかな。

とりあえず一旦それは置いといて今週の本です。

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想田和宏「なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか」(講談社現代新書)


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これは自分の中では、好きな本に分類されます。

著者の職業は映画作家。撮る映画はドキュメンタリー、観察映画。

著者は映画作家になる前はテレビ局の依頼でドキュメンタリー番組を手掛けていたそうです。
テレビ局の番組制作経験から、著者はドキュメンタリーはどうあるべきかと疑問を持つようになります。
著者が感じた疑問というのは、ドキュメンタリーと言いながら筋書きや台本があったり、筋書きに合わない映像やインタビューを削除していく制作過程と台本至上主義です。

分かりやすい善と悪を設定する事、そして「これは絶対ウケるだろう。これなら泣けるだろう。」という方向性。
例えば泣けるシーンには廃墟に佇む姿を撮って悲しげな音楽を流し、「それでも前を向く」的な感動を煽るナレーション…というような演出。
実際に現場で取材した事と違っていても演出や編集で元々の台本通りに作り上げ、時には過剰演出するドキュメンタリー番組。その手法に疑問を感じていきます。

その疑問を発端に著書は自分なりのドキュメンタリー、そして観察映画を撮る映画作家になります。

著者の映画を何本か見ました…僕はすごく謙虚だと思います。

著者が過去取り上げた題材は「友人の選挙活動」「精神病院」「義父の日常と猫」など。
映画には余計な先入観を与えないように作られています。演出も音楽もなければナレーションも無し。
登場人物が何者なのか、仲間なのか敵なのか、場所はどこで、どういう状況なのか。
映画では少しの材料を提示するだけで、大部分は観客の判断に委ねられてます。

僕が著書を知るきっかけになった観察映画「選挙」(2007年公開)

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選挙活動での真剣さと本末転倒と少しの破綻。可笑しさ、不思議な合理性。
そして色んな物がない混ぜになって突然リアルに現れる現実。
選挙で当選して、政治で世の中を変えたい…という目的と現実のズレが、笑えるようでありながら、異様な現実感に満ちています。善悪二元論ではとても片づけられないです。



本書のもう一つのキーワード「参与観察」


現実をありのままに観察して作品にしましたって言っても、カメラが入ることで作為はどうしても入ってしまいます。透明人間でも無い限り、カメラを向けた側と向けられた側の関係はゼロにならないわけです。
その時点で、「ありのままの姿」「これが現実です」とは言えないかもしれない。
それで著者は「参与観察」という言葉を用います。
撮る側ありきで現実を観察せざるを得ない。だから参与観察。

そして完成した作品では撮る側を無いように演出することも編集もしない。
その関係性も全部ひっくるめて作品にする。それが一番自分の見た現実に近いだろうと。

その姿勢に触れた時、僕自身も自己を通してしか観察できない世の中というものを思います。
だから著者の姿勢が謙虚で、共感を抱きます。

そして、それ故に著者の映画が観客それぞれにとってのドキュメンタリーに成り得るんじゃないかなと思います。


今週はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。次回は5月5日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-04-28 10:13 | 想田和弘 | Comments(0)

今日は夕方から本番です。

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和楽器オーケストラあいおいで一緒の音楽仲間、長谷川剛士くんの第2回パーカッションコンサートです。

明るく陽気な長谷川くん。楽しそうなコンサートになりそうです。

そして、僕もコンサートのゲストの一人として参加できる事がとても嬉しいです。

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今日紹介する本は絵本です。

人と人の繋がりを描いた絵本です。
先日、友達の出産祝いにこの本を贈りました。


デヴィッド・カリ、セルジュ・ブロック 「まってる。」 小山薫堂訳(千倉書房)

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このプレゼントは、産まれた命、そして子を授かった両親へ、僕なりのプレゼントです。

「 “おにいちゃん” ってよばれる日をまってる 」

この文章から始まる、どこにでもあるような人生です。

一人の人間の成長、そして人生が赤い糸をモチーフにして繋がっていきます。

生まれて、笑って、泣いて。喜んだり、怒ったり、悲しんだり。
そして大人になり、時がたち、大切な人と別れの時が来ます。
でも、それからまた大切な出会いを迎えます。

赤い糸は人と人をつないだり、そっと影で支えたり、
しかし時にはうねってこんがらがったり、たまに傍観者のようになったり。

上手くいく時も、上手くいかない時も、赤い糸は近くに在り続けます。



・・・・・・・・言ったら、この絵本はベタベタな話だと思います。



でも、なんで贈ろうと思ったのか。

それはモチーフの「赤い糸」って現実の生活では目に見えなくなる事があるなって思ったからです。

赤い糸は一般的に運命の糸とも表現されますよね。
それが実際あるのかないのか、どっちなんでしょうね。

赤い糸は自分があると思えばあるだろうし、無いと思えば無いんだと思います。

そして「赤い糸」は普段は見えない、もしくはあっても見ようとしなかったりすると思います。

その見えない糸が、実は自分たちを支えてくれているという事を親と子が一緒に感じて貰えたらといいなと思い、贈りました。

世代を越えてメッセージを伝える事ができる絵本はやはり良いと思います。

絵は黒ペンのみの素朴なものです。その飾らない絵に、一つの人生のささやかな営みを感じます。


今日はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。次回は4月28日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-04-21 05:21 | 複数著者など | Comments(0)

この前、尺八奏者の後輩に久々に会いました。
たまにこのブログを読んでくれてるみたいです。

感想を聞いてみると

苦笑いしながら「暗いっすね~。」

正直な後輩です。でも、なぜだか嬉しかったです。
だって、俺のブログ探して読んでくれたんですからね。
その行動を考えただけで嬉しかったです。


今週の本です。

中島らも「ガダラの豚」(集英社文庫)

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全三巻。
長編サスペンスホラー。先月深夜に一気読みでした。
ハラハラ、ドキドキです。

昔、超能力ブームってありましたよね。

この本の冒頭は超能力者vs手品師の話から始まります。

トリックや仕掛けなど無い、あくまでも超人的なパワーと言い張る超能力者。
一方、全てはトリックだと言い、超能力者の嘘を暴こうとする手品師。
この小説の大きな流れがここで提示されてます。

超能力(非トリック、非理論) ⇔ 手品師(トリック、理論)

ここから出発し、第Ⅱ巻はアフリカに舞台を変え、

呪術 ⇔ トリック

という構図に展開します。

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僕はこの本の第Ⅱ巻が一番好きなんですが、アフリカ呪術とトリックという一見相容れないものを巧みに描き、展開が呪術寄りになったり、トリック寄りになったりします。この不安定な二律背反が作品に厚みと緊張感を与えています。

その第Ⅱ巻で登場する呪術師バキリ。バキリの周辺では超常現象と惨劇が起こります。
バキリは自分のする事が呪術でもトリックでも、どちらでも有り得るような、そしてそんな事はどっちでもいいような、湿り気ある邪悪さと乾いた嘘を持っています。

ストーリーには常に緊迫感があります。

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そして、第Ⅲ巻。舞台は日本へ。

…と、いきなり、この第Ⅲ巻からは急展開。


ややご都合主義的に事態が収束していきます。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、主人公が実は~だったなどのくだりとか
「展開早っ!えっ?そんな終わり方?」って感じです。

それゆえ第Ⅲ巻は賛否分かれるみたいです。

でも、この小説には著者のアフリカ呪術に対する敬意と知識が感じられて、ストーリーには重厚感があります。読み込ませるパワーを持った作品です。

はまれば一気読み間違いないです。

今週はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。
次回は4/21です。

読んで頂きありがとうございました。


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by mamesyakuhachi | 2014-04-14 10:11 | 中島らも | Comments(7)

横浜ランドマークタワー69階の展望台。
無料チケットを頂いたので登ってきました。

当日はあいにくの雨模様。

チケット売り場で係員の方が「今日は天候不良で視界が良くないのですが、よろしいでしょうか」とかなり申し訳なさそうな雰囲気。

僕は「大丈夫ですよ~」と返答。
視界悪いって言っても、まぁちょっと景色見れればいいやと思ってました。(無料ですし)

そしたら


南側、なんも見えない。
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北側・・・ちょっと見える。

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でもガラスに近づいて下を見れば

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まぁ少し・・・、見える。

こりゃ係員の方も気を遣いますよね。

やっぱ俺は悪運が強いです。
でも逆にガラガラで貸し切り状態でした。

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今日の本です。

益田ミリ「青春、手遅れ」(角川学芸出版)

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益田ミリ隠れファンの僕です。(隠れ・・・は要らないか)

著者の作品(漫画からエッセイ、小説)はだいたい読んでます。
ほのぼのエッセイの他に、アラサー独身女子の日常を繊細に描いた「すーちゃん」シリーズも好きです。
日常の些細な事に立ち止まり(益田ミリは「ちょっと立ち止まる率」高し)、悩みながら進んでいく姿が良いです。

話が横道にそれますが「すーちゃん」シリーズの第二巻のタイトルが「結婚しなくていいですか。
」なんですが、このタイトルが良いです。
世間体と現実、「結婚しない」とも「結婚したい」とも言い切れない微妙な気持ちをよく表現してるなぁと思います。


えー、話を元に戻し「青春、手遅れ」
この作品はほのぼのエッセイ&漫画です。

青春の代名詞と言えば、学生時代ですよね。

著者は学生時代にしたくても出来なかったあれこれ(制服デート、自転車ふたり乗り、男子に校門で待たれる)等々に未だ憧れを抱きつつ、戻らない「青春」に「もう手遅れかぁ~」と思いを馳せています。

ちなみに僕の青春時代。高校は男子校でした。
(いや、正確に言えば、わずかに女子はいましたが、棟が違うので、基本的に交流なし)

文化祭、体育祭、修学旅行など女子との楽しい思い出は・・・皆無です。

なので妄想ばかりが膨らんでました。


それで文化祭といえば、憧れるこんな場面・・・。


準備で遅くなった二人。
脚立を支える女子。

「ちゃんと支えてろよ」と男子。
次の瞬間。

ドンガラガッシャーン

「アイタ、タ・・・。だ、大丈夫か・・・」と男子。

「う、うん。・・・でも、いつまで私の上に乗ってるの・・・?」

「ゴ、ゴメンっ!」(二人は赤面)


・・・あー、壮絶に馬鹿馬鹿しい。

まーこの後二人は準備に手間取り、二人きりで下校・・・って、もう書かなくていいでしょう。


まぁ僕の青春も手遅れ。

でも、きっと皆さんにも青春時代にしたくても出来なかった事があるはず…と思います。

あの頃は下らない事を考えてたなぁ…、と共感できる気楽なエッセイです。


今日はこの辺で以上です。

更新は毎週月曜日。次回は4月14日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-04-07 10:14 | 益田ミリ | Comments(0)