先週の記事では「はるか(『水に眠る』より)」北村薫(文春文庫)を6行(最初3行&終わり3行)だけ読んであらすじを予想してみました。


b0145160_04235791.jpg


読了したので、予想がどれくらい合っていたのか検証してみます。

ちなみに書き出しの3行は

 話を聞いて来たのは、父だった。夕食の膳の、鍋物をつつきながら、
 「モリタが店をしまうんだ」
 「ははあ」

そして終わりの3行は

 はるかの顔は、たんぽぽ色のろうそくの光に、うっすらと染まっている。その無邪気な口元が動き、
 「わたし、大みそかの夜から三日までは、お巫女さんのアルバイトするんです」

でした。
そして私遠藤が予想したあらすじは……


高校生のはるかはいつも笑顔をたやさない優しい女の子。
父の友人のモリタさんが店を閉めると聞いて心を痛めている。
それにモリタさんの家には少し年上のお姉さんがいて、今も仲良く過ごしている。
モリタさんやお姉さんの為に何かしてあげたい。
そうだ、巫女のアルバイトをする事をそれとなくお姉さんに話して一緒に神社で働こう。
はるかは優しく揺れるろうそくの光の中でそっと誓うのだった……。


さあ、どのくらい合っていたのか?

間違っていた部分に取り消し線を引くと……


高校生のはるかはいつも笑顔をたやさない優しい女の子。
父の友人のモリタさんが店を閉めると聞いて心を痛めている。
それにモリタさんの家には少し年上のお姉さんがいて、今も仲良く過ごしている。
モリタさんやお姉さんの為に何かしてあげたい。
そうだ、巫女のアルバイトをする事をそれとなくお姉さんに話して一緒に神社で働こう。
はるかは優しく揺れるろうそくの光の中でそっと誓うのだった……。


ああああ、間違いだらけ。
読んだ6行に書かれていない事で合っていたのは
主人公のはるかが高校生で笑顔たやさない女の子という部分だけでした。

うーん。難しい。

じゃあ、この小説のあらすじはどうだったかというと

書店を営む伊部英造は、パン屋だったモリタの跡地に新規店舗を構えることになった。
店舗の立ち上げに奔走し、従業員の確保に悩んでいた英造は、ある日工事中の新店の前に佇む高校生を見かける。
その高校生の名前は柳田はるか。聞けばこの新しいお店で働きたいという。
明るくひとなっつこい彼女は慣れないアルバイトに四苦八苦しながらも、周りの仲間に支えられながらお店で働くようになる。
やがてお店も軌道に乗り始め、初めてのクリスマスの時期を迎える。
はるかは英造に「クリスマスの飾りつけがしたい」と願い出る。
当初は嫌がっていた英造も、雰囲気が変わった店内の様子と、はるかの気持ちのこもった態度に心を動かされ始める。
そしてクリスマスイブの夜。閉店後の店内ではケーキを囲んでささやかなクリスマスパーティ。
はるかは優しく揺れるろうそくの中で皆と「聖しこの夜」を歌うのだった。

というような感じでした。(巫女の話は大筋とは関係なかったので後述します)


今回の【ほぼ未読書評】では知り合いの方々からも予想コメントを頂いたので、それに関係する部分をすこし書きます。


まずモリタについて。

最初3行に登場するモリタは人物名でもあり屋号でもあるようです。お店の正式名称はとくに言及されてなく、ご主人がなくなった為にお店を閉めるということでした。そして、モリタの存在はこの小説の冒頭にだけ書かれていただけで、その後は特に登場しませんでした。

次に巫女のアルバイトについて。

最後3行にある巫女のアルバイトの話は、年末年始に巫女をする予定のはるかが「聖しこの夜」を歌うのはまずいんじゃないかと本気で心配するというエピソードを表現したセリフです。
この部分は巫女として働くかどうかに力点はなく、はるかの純粋さを印象づけることに力点があるようです。

というような感じでした。
予想コメントを頂いた方々の中に「ろうそく」というキーワードで「クリスマス」を推理された方がいました。
正解でした。すごい。



三週にわたってお送りした【ほぼ未読書評】いかがでしたでしょうか?

意外に反響があったので、時期を空けてまた挑戦したいと思います。

改善点としては1ページでは少し長く、6行では短すぎるかもしれないということ。
そして選書がとても難しいということです。

でも、改善していけば教育の現場や読書会などでも活用できそうです。
今回は中身を推理するということに軸足を置きましたが、逆に書き出しと書き終わりだけを提示して中身を創作するというのも面白いかもしれません。

いろいろ考えればできそうなことは増えそうです。

-------

今週はこれにて以上です。
このブログは毎週月曜日に更新。
次回は12月12日です。
読んで頂きありがとうございました。


[PR]
by mamesyakuhachi | 2016-12-05 00:01 | 北村薫 | Comments(0)