カテゴリ:斉藤美奈子( 1 )

明日から12月。年末。ワクワクします。

12月は今年の総決算記事を投稿します。

以下予定です。

【12月7日(月)】
紹介しきれなかった本をまとめて発表/2015年上半期

【12月14日
(月)
紹介しきれなかった本をまとめて発表/2015年下半期

【12月21日
(月)
2015年ベスト本&今年紹介した本一覧

【12月28日
(月)
読書所感&来年読みたい本

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今週の本です。

『読者は踊る』斎藤美奈子/著(文春文庫)

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文芸評論家・斉藤美奈子による書評集です。

突然ですが、皆さんはどういった基準で本を購入しますか?

様々な理由があるとは思いますが、以下のような項目に心当たりはありませんか?

○芥川賞・直木賞の受賞作くらいは読んでおいた方がいいような気がする。
○「知の最前線」「時代を読むキーワード」といった言葉に弱い。
○売れている本のベストテンが気になる。
○話題のタレント本を買うのはちょっと抵抗がある。
○似たような本が何冊もあったら、著者の肩書きと経歴を見て選ぶ。

これらの項目に心当たりがある方。
そのような方は「踊る読者」候補生、もしくは既に立派な「踊る読者」です。
(ちなみに本文では20個のチェック項目があり、僕は12個該当で「かなり重度の踊る読者」でした・・・。)

ところで、世間ではよくこんな事を耳にします。
「人は外見や肩書きじゃない、中身だよ」と。
でも現実の世の中では美人やイケメン、「東大卒」や「~賞受賞」が大人気。

見かけに惑わされることなく本物に出会いたい。
そんな読書ライフ入門として読みたい一冊です。


本書の特長は二点。

①権威や肩書きに捕われずに批評
②多様な視点からの判断

それぞれ本文を引用しながら紹介します。

①【権威や肩書きに捕われずに批評】
「ごくごく一般的な、そんじょそこらの読者代表」と自称する著者。
世間の一読者として、権力や人気におもねることなく果敢に(時には笑いと皮肉をもってバッサリと)書評をしています。

1995年に発売され、650ページ超の大著に関わらずベストセラーとなった『ソフィーの世界』(ヨースタイン・ゴルデル著)については、
『かろうじて読み進んでいけるのは、ミステリー仕立ての謎解きが仕掛けられているからである。哲学の入門書として買われ、結果的にはファンタジー小説として読まれている。それが『ソフィーの世界』の人気の実態ではないかと思う。』

もう一つ。
「カラオケ化する文学」というテーマにて。芥川賞・直木賞については、
『両賞は、新しい作品を見きわめて励ますためのものではない。新人作家の中から自分たちの仲間(遠藤注:選考委員)に入れてやってもよさそうな人材を一方的にピックアップする、一種の就職試験』

などなど。

しかしながら、これだけでは著者による主観混じりの単なる悪口になる恐れがあります。

そうならない為に②の立場が大切になります。

②【多様な視点からの判断】
本書では一つの本を書評するのではなく、一つのテーマに沿って様々な立場(推進派、反対派、擁護派、中立派など)の書籍を複数冊を読み込んで書評しています。

例えば教育問題を取り上げた「学校のスリム化で得をするのは親か子どもかお役所か」というテーマ。
著者が取り上げた書籍を図にしてみると、

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著者はこのように必ず複数冊を読み込み、様々な視点から一つのテーマを掘り下げていきます。
(なお、この図は遠藤が作成した簡略図です。実際はもっと入り組んでいます。)

様々な視点の本を読み込むことで得られるもの。
それは物事への深い理解です。
単なる情報だったものが立体的な知識や知恵に繋がります。
それらを獲得する事が読書の醍醐味であり、一つの目的といえるでしょう。

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・と、まぁこのように本書の良さを書いている途中の僕ですが、皆さん何かに気づきませんか?

・・・

そうなんです。

僕はいつの間にか本書『読者は踊る』にすっかり「踊らされている」のです。
本の中身に疑問を持たずに、すぐ納得する態度。これは正に「踊る読者」。

ああああ、本末転倒。

・・・うーむ、まだまだ「踊る読者」卒業までは時間がかかりそうです。

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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は12月7日で「紹介しきれなかった本をまとめて発表/2015年上半期」を投稿します。

読んで頂きありがとうございました。


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by mamesyakuhachi | 2015-11-30 09:51 | 斉藤美奈子 | Comments(0)