この前、尺八奏者の後輩に久々に会いました。
たまにこのブログを読んでくれてるみたいです。

感想を聞いてみると

苦笑いしながら「暗いっすね~。」

正直な後輩です。でも、なぜだか嬉しかったです。
だって、俺のブログ探して読んでくれたんですからね。
その行動を考えただけで嬉しかったです。


今週の本です。

中島らも「ガダラの豚」(集英社文庫)

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全三巻。
長編サスペンスホラー。先月深夜に一気読みでした。
ハラハラ、ドキドキです。

昔、超能力ブームってありましたよね。

この本の冒頭は超能力者vs手品師の話から始まります。

トリックや仕掛けなど無い、あくまでも超人的なパワーと言い張る超能力者。
一方、全てはトリックだと言い、超能力者の嘘を暴こうとする手品師。
この小説の大きな流れがここで提示されてます。

超能力(非トリック、非理論) ⇔ 手品師(トリック、理論)

ここから出発し、第Ⅱ巻はアフリカに舞台を変え、

呪術 ⇔ トリック

という構図に展開します。

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僕はこの本の第Ⅱ巻が一番好きなんですが、アフリカ呪術とトリックという一見相容れないものを巧みに描き、展開が呪術寄りになったり、トリック寄りになったりします。この不安定な二律背反が作品に厚みと緊張感を与えています。

その第Ⅱ巻で登場する呪術師バキリ。バキリの周辺では超常現象と惨劇が起こります。
バキリは自分のする事が呪術でもトリックでも、どちらでも有り得るような、そしてそんな事はどっちでもいいような、湿り気ある邪悪さと乾いた嘘を持っています。

ストーリーには常に緊迫感があります。

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そして、第Ⅲ巻。舞台は日本へ。

…と、いきなり、この第Ⅲ巻からは急展開。


ややご都合主義的に事態が収束していきます。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、主人公が実は~だったなどのくだりとか
「展開早っ!えっ?そんな終わり方?」って感じです。

それゆえ第Ⅲ巻は賛否分かれるみたいです。

でも、この小説には著者のアフリカ呪術に対する敬意と知識が感じられて、ストーリーには重厚感があります。読み込ませるパワーを持った作品です。

はまれば一気読み間違いないです。

今週はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。
次回は4/21です。

読んで頂きありがとうございました。


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by mamesyakuhachi | 2014-04-14 10:11 | 中島らも | Comments(7)

大学生の4割が読書時間ゼロというニュースを見ました。

まー僕も大学時代なんて読書なんてほぼしなかったので、偉そうなことは言えません。

なのでこの調査結果について、『最近の大学生は・・・』みたいな事を言う資格は、まー無いですし、言っても無意味だと思います。

でも僕から一つ言えるのは、世の中には沢山の本があって、それぞれの人の感性に合う本がきっとあるって事です。そして単なる文章から受けるイマジネーションみたいなものは結構大きいと思います。

例えば「その時、目に映った桜は今までに見た桜の中で最も鮮やかだった」という文章を読んだ時、読者の頭の中にはきっとその人の経験で一番美しい桜を思い浮かべると思うんですよね。

映像や絵が提示されていない時の強みというか、情報量が少ないからこそ得られる思考みたいなものの良さを感じる時があります。

と、まーそんな事を言いつつ、今日も本の紹介です。


中島らも「心が雨宿りする日には」(青春出版社)

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あ、やばい。

好きな作家かもしれない。

という予感がしつつ読んでみたら、あっという間の一気読み。

既に同じ著者の「ガダラの豚」も今読んでる途中です。

以前から「中島らも」という名前だけは知っていて、その名前から漂う雰囲気で僕が好きになりそうな感じを持っていました。

読んでみたら、あーやっぱり好きでした。


この本は著者がうつ病とアルコール中毒をかかえながら通院、入院、退院を繰り返す様を描いた闘病記です。

著者の「うつ」は「最近なんか俺、うつっぽくってさ~」なんて気軽にいうようなヤワなものでありません。
自殺未遂まで行くようなハードなものです。

30歳で一度目のうつ病、40歳手前で再発、42歳で躁病。しかも、それにアルコール中毒。
処方される精神安定剤や抗うつ剤、睡眠薬をストレートのウイスキーで飲み下す。
抗うつ剤では元気は出たが、「自殺する元気」が出るという本末転倒。

ファンキー、そしてクレイジー。

しかし一方で、仕事は順調で充実しています。
劇団に小説、エッセイ、バンド活動、かなりマルチです。

はたから見れば収入もあり、仕事も順調で羨ましがられる存在の著者。
しかしながら、現実はちょっと違っているのかもしれません。

著者は「あの時こうしていれば」という所謂「ればたら」は人生にはないし、考えても無意味だと言います。

「無数の選択肢の中で、自分が選べる選択肢を選んで人生を生きている。選べない選択肢を選ぶことは絶対にない」と言います。

著者は苦しみながらも前を向いています。強い人だなと思います。
「悲壮感などは抱かないように」過ごし、「(他人の)苦しさに比べたら、自分なんて“屁”のようだと思う」「上を見たらキリがない。元気な人はたくさんいるだろう。ただ、下を見てもキリがないのだ。」

著者は自分の置かれている状況を冷静に、時には楽観的に捉えようとしています。


この本は「うつ病」という重いテーマを扱っていますが、辛いエピソードも笑い話で蹴っ散らし、これくらいの事で負けてられるかという熱い気持ちが伝わってきます。

破天荒な闘病記ですが、前向きになれる一冊です。

でもでも、アマゾンのレビューで良いコメントありました。
「笑い飛ばしたあとの小さなため息」・・・なんかやっぱり切なさも感じるんですよね。



今日はこの辺で以上です。

毎週月曜日に更新。
次回は3月10日です。

読んで頂きありがとうございました。
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by mamesyakuhachi | 2014-03-03 11:14 | 中島らも | Comments(0)