このブログが読書ブログになって来月で2周年。
それを記念して、ちょっとした企画をやります。
題して「オススメ本を教えて下さい」

世の中には未だ知らない良書がたくさんあるはず。
それを皆さんから教えて頂いて、実際に読み、このブログで感想を書きたいと思っています。
オススメ本を教えて頂ける方はお気軽にどうぞ。
参加方法などは下記です。

@ご連絡方法@
このブログのコメント欄もしくはフェイスブックからご連絡下さい。
本のタイトルと著者名を教えて下さい。

@本のジャンル@
ジャンルは問いません。何でもOKです。
小説、実用書、タレント本、評論、絵本、詩、漫画、何でも良いです。
(なお、他人への悪口や攻撃ばかりの本はご遠慮下さいね。)

@応募期間と冊数@
応募期間は5月20日まで。
なお上限冊数10冊に設定するので、冊数越えたら早期終了もありです。
(1冊もこなかったらどうしよう。と今から不安なんですけどね。)

お一人でもご連絡がきたら、多分ものすごく嬉しいです。
教えて頂ける方、お気軽にどうぞ。

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今週の本です。

太宰治『蓄犬談(「きりぎりす」より)』(新潮文庫)

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太宰治中期の作品。
太宰のお茶目さが発揮されている作品です。
暗いとばかり思われがちな太宰ですが、暖かい気持ちになる名作です。

本文を引用をしながら魅力を伝えたいと思います。

まずは出だし。
『私は、犬に就いては自信がある。いつの日か、必ず喰いつかれるであろうという自信である。/犬は猛獣である。馬をたおし、たまさかには獅子と戦ってさえ之を征服する』
太宰は犬を猛獣と考えています。

そしてまた、こうも考えています。
『(犬は)たかだか日に一度や二度の残飯の投与にあずからんが為に、友を売り/忠義顔して/ただひたすらに飼主の顔色を伺い、阿諛追従てんとして恥じず/人間の御機嫌を取り結ぼうと努めている。』
太宰は犬の品性の無さと、人間に媚びへつらう姿を軽蔑しています。

太宰は犬を蔑視しながらも、噛みつかれてしまう事に猛烈な恐怖を抱いています。
それゆえ散歩中に犬に出会うと、下記のような行動をとるに至ります。
『私は、とにかく、犬に出逢うと、満面に微笑を湛(たた)えて/無邪気に童謡を口ずさみ、やさしい人間であることを知らせようと努めた。』
恐怖ゆえに犬におべっかを使う事にした太宰。なんかお茶目です。

すると思いもよらぬ結果が。
『私は、犬に好かれてしまったのである。尾を振って、ぞろぞろ後について来る。/実に皮肉である。』
なんと。皮肉にも犬に好かれてしまった太宰。

しかしながら当然、胸中は穏やかではありません。
『犬は不潔だ。犬はいやだ。なんだか自分に似ているところさえあるような気がして、いよいよ、いやだ。』
なんだか駄々っ子な太宰です。

そんな折、太宰に特に懐いてくる子犬が一匹現れます。
『真っ黒の、見るかげもない子犬である。ずいぶん小さい。胴の長さ五寸である。』
子犬は散歩する太宰のあとを離れずについて来ます。
仕方なしに太宰は自宅に連れて帰ります。

子犬にお菓子を与えると、
『子犬は、たちまち私の内心畏怖の情を見抜き、図々しくもそれから、ずるずる私の家に住みこんでしまった。』
住み着いた子犬に太宰は仕方なく「ポチ」という名をつけます。
太宰はポチに依然として戦々恐々としながらも、飼い犬になったポチに対して
『縁の下に寝床を作って/食い物も乳幼児むきに軟らかく煮て/蚤取粉などからだに振りかけてやった』
という行動をとります。
太宰、なんか優しい。

するとポチは、
『私が外出すれば必ず影の如くちゃんと私につき従い、/私の顔を振り仰ぎ振り仰ぎ、あとになり、さきになり、からみつくようにしてついて来る』
ポチになつかれまくる太宰なのでした。
さらに家人からは
『「ちょっとポチが見えなくなると、ポチはどこへ行ったろう、どこへ行ったろうと大騒ぎじゃないの」』
とまで言われてしまうのでした。

しかしながら、あくまでも太宰の内心は複雑。
『私はポチを愛してはいない。恐れ、憎んでこそいるが、みじんも愛しては、いない。/(ポチは)血に飢えたる猛獣である。/私はむごたらしく噛み裂かれ、/病院に通わなければならぬ。』
あくまでポチを愛していないと言い張ってきかない駄々っ子太宰。

そんなポチとの日々でしたが、ある時、変化が訪れます。
それはポチの病気と三鷹村(現在の東京都三鷹市)への転居です。
ポチを置いていこうとする家人に対して、最後に太宰がとった行動がこの物語の結末なんですが、この部分がとても暖かい。

「犬は猛獣だ!嫌いだ!」と言っていた太宰がとった行動。
結末はぜひ実際に読んでみて下さい。

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今週はこれにて以上です。
毎週月曜日に更新。
次回は5月11日です。

「オススメ本」お待ちしています。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2015-05-04 00:01 | 太宰治 | Comments(0)

太宰治「東京八景(「走れメロス」より)」(新潮文庫)

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太宰治「斜陽」(角川文庫)

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悩み事をあまりにも正直に言い過ぎて他人から引かれる事があります。
しかもそれほど親しくない人につい言ってしまい、聞いてる方は話の重さに引いている。・・・というよな。

寝る前に思い出し、恥ずかしさで身悶えします。

面倒くさい自我ですね。


・・・ところで、
「太宰治は好き嫌いが分かれる。」
という話や、
「若い人が共感しやすい作家だ。」
という話を聞いたりします。

確かにクセが強いですが、僕としては好きな方です。

先月から今月にかけて何編か読みました。

著者の印象は真面目な人という感じです。


「東京八景」では、食うや食わずの生活や、自分のだらけぶりといった、赤裸々な事を書き連ねてますが、そういった部分に著者の素直さを感じます。
そして、自意識に苦しんでる姿には共感が湧いてきます。

「ダメだなぁ、俺」とか思いながら、つい文章を書いちゃうのは、やっぱり自分を見捨てきれない所なんでしょうか。


この「東京八景」では暗い事を書いてますが、読後は不思議に爽やか。ささやかな東京の風景です。

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「斜陽」は最初は穏やかで、小津安二郎の映画のように叙情的です。美しい母の姿が印象的です。
そして、弟の直治の登場と母の死から大きく物語が動いていきます。背景には戦前と戦後という転換点もあります。

最後の貴婦人だった美しい母の死と価値観の崩壊。
新しい生活を求める娘かず子は悲しさの中に在りながらも、生きる力に溢れています。

僕は読みながら、主人公かず子がなぜ堕落した生活を送る上原に惹かれるのか、馬鹿だと知りながら深みにはまるのか、分かりきれない所もありました。
しかしながら、この「斜陽」には引き込まれる強さがあります。
もの凄くパワーがある作品でした。

そして、この角川文庫版の角田光代の解説が読後の気持ちにピッタリきたので引用します。

「感動というのは、共感や共鳴とイコールだと思っていた」

そんな読後感の「斜陽」でした。

今日はこれにて以上です。
毎週月曜日に更新。次回は10月20日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-10-13 00:09 | 太宰治 | Comments(2)