古典文学はとっつきにくい・・・。

そんな気持ちをふっ飛ばす新訳があります。

『宇治拾遺物語(日本文学全集08/池澤夏樹編より)』町田康/訳(河出書房新社)

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2015年9月発行、作家・池澤夏樹の個人編集による日本文学全集、第8巻。
この中の宇治拾遺物語、作家・町田康の新訳が非常に奇抜、ファンキーでぶっ飛んでいます。

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『最高。今日、最高。でもオレ的にはちょっと違う感じの踊りも見たいかな』(213ページ)

『マジ、出家しよ』(259ページ)

『非常に美味だったので出家の身でありながら大量に食べてしまいました。テヘペロ』(290ページ)

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少し抜粋しただけでも、その奇抜さを感じると思います。

ちなみに宇治拾遺物語とは
『13世紀前半頃に成立した、中世日本の説話物語集。「今昔物語集」と並んで説話文学の傑作とされる。』(Wikipediaより)
です。

しかしながら説明文を読んでも、中々読みたいとは思いませんよね。

宇治拾遺物語には『こぶとりじいさん』や『わらしべ長者』といった親しみやすい物語も入っているのですが、いかんせん「宇治拾遺物語」というタイトルからイメージされるのは「難しそう」「古典」、時には「退屈」といったものだと思います。

そもそも古典が退屈だと感じるのは「昔の人の感覚が現代人の感覚とかけ離れていて感情移入できない」という部分だと思います。

そんな中、今回の町田康による新訳は現代的で斬新かつポップ。そして何より現代人が読んでも笑ったりドキドキしたりできる現代語訳になっています。

国から認められていない僧を『インディーズ系の僧侶』(224ページ)と表現したり、貴族の家臣の中で中心的な人物を『チーフっぽい男』(239ページ)と意訳する今回の新訳。

中身が気になる方は河出書房新社のホームページで『奇怪な鬼に瘤を除去される』(こぶとりじいさん)を無料で読むことができます。→こちらです。

この機会にぜひ古典に親しんでみてはいかがでしょうか?

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今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は10月26日。
読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2015-10-19 00:01 | 町田康 | Comments(0)

『夫婦茶碗』町田康/著

ドラゴンボールなら水曜日。
ドラえもんなら金曜日。

子供時代はアニメの放送日で曜日感覚を養ってました。

そして今、曜日感覚を取り戻すのはブログ更新です。

町田康「夫婦茶碗」(新潮文庫)

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先月読んだ又吉直樹「第2図書係補佐」の中で、町田康「パンク侍、斬られて候」が紹介されていたので読みました。
それが面白かったので、もう一作…ということで、この「夫婦茶碗」を読みました。


いやはや、面白いです。
読みながらニヤニヤと薄笑いをうかべてました。


話に登場してくるのは働かない駄目男と、それを支える健気な妻。

自分の都合の良いように現実を捉えていく男は楽な方へ楽な方へと流れていきます。周りや他人が悪いとか、環境が整ってないせいだとか、そんな有りがちな駄目っぷりを爆発的に発揮しながら最後に行き着くのはメルヘン童話作家。

仕事もしない男が、ある日メルヘン作家になると言い出した馬鹿馬鹿しさと乱痴気ぶりが笑えます。

そんな内容ながら著者の文体は大正~昭和初期の雰囲気で風情があります。
そこに突如として現れる現代感覚の軽いノリ。
その振れ幅に妙味があります。

読んでいると作風は違うものの西村賢太さんの作品を思い出しました。西村さんの作品は私小説でやや暗めですが、現代感覚と文体の重厚さの対比が読んでいると楽しいです。(ちなみに西村さんの作品はノリが軽くありません。念のため。)
余談ですが、私小説で自分を突き詰めていく西村さんの作品には、一周まわって立ち上る人の業の可笑しさも感じます。必死になればなるほど行動がコメディっぽくなるような。僕は西村さんの作品に勝手な解釈ながら、どこか笑いを感じます。


今日紹介した「夫婦茶碗」は人の駄目駄目なところが、いかんなく笑いに昇華されています。

自分の都合で現実を無理矢理な前向きさで突き進む豪快さ。
僕にはない個性です。

この作品は好き嫌いは分かれるかもしれませんが、パンクロックとかサブカルチャー、高円寺とかが好きな人は嵌ると思います。

今日はこれにて以上です。

更新は毎週月曜日。次回は9月8日です。

読んで頂きありがとうございました。

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by mamesyakuhachi | 2014-09-01 10:14 | 町田康 | Comments(0)