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シュール&ナンセンスな絵本が面白い


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穂村弘「ぼくの宝物絵本」(河出文庫)にはシュール&ナンセンスな絵本が山ほど紹介されていて、とても面白い一冊。

そもそも、絵本界には「めでたしめでたし」系の民話的なものや、ハッピーエンド系、教育的配慮系などが多い一方で、それに負けないくらいシュール&ナンセンス系も多い。

たとえば長新太の作品たち(例えばゴムあたまポンたろう)とかヨックム・ノードストリュームの作品たち(たとえばセーラーとペッカシリーズ)とか。

出てくる登場人物の行動には意味がなかったり、脈絡がなかったりすることばかりです。
(ゴムあたまポンたろうは主人公がゴムあたまで飛び跳ねるだけだし、セーラーとペッカではいきなり近所のおばさんと踊り出して絵本が終わる)

でも、そこには「めでたしめでたし」系にはない魅力があります。

穂村弘は本書131P「『めでたし』への不参加」の章で、そんなシュール&ナンセンス系の絵本の魅力を、長新太の自由な作風に通してこんなふうに言っています。



この風通しの良さの正体は、おそらく「めでたし」を支える社会的な呪縛からの解放感なのだろう。長新太の作品の多くからは、手柄や出世や居場所や愛や生き延びることだけがこの世の在り方の全てではない、という声がきこえてくるようだ。



たぶん、僕がシュール系絵本を好きな理由も、このあたりのことが強いと思われます。

そして、上記のような頭で考える魅力とは別に、より直接感じる魅力があります。

それは「絵」です。シュール系には絵が良いことが多いんです。

たとえば

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「ねこのセーター」及川賢治、竹内繭子(文溪堂)

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「ジャリおじさん」大竹伸朗(福音館書店)

とか。

好みの問題もあるとは思いますが、僕にとっては色使いや筆使いの自由さがたまりません。


夏のあつさに疲れたら、シュール&ナンセンス系絵本で脱力するのをおすすめします。



by mamesyakuhachi | 2017-07-24 00:01 | 複数著者