2016年 09月 26日
大仙厓展を関係ないのにオススメしてみる。見て下さい。
この可愛らしい展覧会のチラシ。
来月10月1日(土)から東京・丸の内の出光美術館にて始まる「大仙厓展」のチラシです。
ちなみに仙厓(せんがい:1750-1837)とは日本最古の禅寺である博多聖福寺の住職をつとめていたお坊さんで、上掲のチラシにあるような笑いとユーモアにみちた書画を沢山残しています。
私は数年前に友人から仙厓の作品を教えてもらい、一目でファンになりました。
そしてこのたび、嬉しいことに「大仙厓展」が来月から開催されるのです。
これは絶対に行きたい。
いやもう、すぐにでも。
皆さんも是非行ってみましょう。
【開館50周年記念 大仙厓展 禅の心、ここに集う】
《会期》2016年10月1日~11月13日(日)
《開館》10:00~17:00(最終入館16:30)※金曜日は~19:00(最終入館18:30)
《休館》月曜日(ただし10月10日は開館)
《料金》一般1000円、高・大生700円(団体20名以上、各200円引き)、中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要)※障がい者手帳をお持ちの方は200円引き、その同伴者1名は無料
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今週は「展覧会」にちなんで美術に関する本を紹介します。
(このブログで過去に取り上げた本を中心に紹介します)
「芸術がわからなくても美術館がすごく楽しくなる本」藤田令伊(秀和システム)
この本。
第一印象はあまり良くなかったんです。
タイトルが安直すぎるだろうと思ったからです。
しかしながら目次をチェックしてみると
『第二章 04 「正しい」「間違っている」から解放される』
『第三章 05 展覧会のキャッチフレーズに踊らされない』
など意外に興味深い目次が。
読み進めてみると美術に対して抱いていた先入観(この作品はこう見なきゃいけない、わかる・わからないで判断しない等)を取り除いてくれます。
同じ著者の「現代アート、超入門!」も良書で、難解な現代アートを楽しむヒントを与えてくれます。
続いては海外文学から1冊。
「月と六ペンス」サマセット・モーム/著、厨川圭子/訳(角川文庫)
なんてオシャレなタイトルなんだろう、と思って手に取った小説。
この小説に登場する画家のストリックランドという人物は画家のポール・ゴーギャン(1848-1903)を下地にしたと言われています。
天才ストリックランドと、彼を支えようとする三流画家ストルーヴ。
その二人を軸に物語が展開し、二人の関係性(嫉妬や羨望)はフィクションを超えた現実味があります。
ストリックランドの存在が引き金となり、ストルーヴに起きる悲劇。
それでもなお、才能への敬意を捨てきれないストルーヴ。
芸術に心を奪われた二人の画家の生涯を描いた約100年前の小説です。
続いては日本の小説から。
「楽園のカンヴァス」原田マハ (新潮文庫)
元キュレーターで作家の原田マハの長編小説。
表紙の絵はアンリ・ルソー(1844-1910)の「夢」(ニューヨーク近代美術館所蔵)です。
この小説はこの名画を巡るミステリー仕立てになっています。
「夢」に秘められた謎と、名画を巡る水面下の陰謀。
そして次々と明らかになる「夢」に込められていた物語。
読み止まらぬストーリーの面白さに加え、一枚の絵に対峙し歓喜と衝撃を覚えるシーンの描写力は素晴らしいです。
最後に紹介するのは現代美術家のエッセイ。
「見えない音、聴こえない絵」大竹伸朗(新潮社)
日本を代表する現代美術家の大竹伸朗によるエッセイ。
60歳の現在も旺盛な創作活動をされています。
本書で大竹伸朗は創作にむかうまでの衝動や動機、そして作品と展覧会に込める気持ちについて綴っています。
少し難しめのエッセイという印象ですが、文章から溢れる熱量は創作にかける情熱を感じさせます。
「『興奮』がいつのまにか『つじつま合わせ』にすり替わることはよくあることだ。答えは合っているが面白くないということは往々にしてあることで、あまりにジャストなギャグは笑いの反応が少ないことにもどこか似ている。」
「それまで経験しえなかった出来事が誰かの内側で起きてしまうその瞬間、そこに僕は『芸術』というものの核を見る。」
ありがちな前提を疑い、再構築していく姿に刺激されっぱなしの一冊です。
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ただ今、9月下旬。
芸術×読書の秋。
鑑賞して読書して。
感性を刺激される秋なんていかがでしょうか。
今週はこれにて以上です。
更新は毎週月曜日。
次回は10月3日です。
読んで頂きありがとうございました。
by mamesyakuhachi
| 2016-09-26 00:01
| 美術