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『月と六ペンス』サマセット・モーム/著

今日はクラムボン「Reーアホイ!」聞いてます。

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最近クラムボンよく聞いてます。歌詞の出だし、なんて歌っているか分からず、
ジャケットみたら「ピヨヨヨ」
そんな発想なかったです。

今年もあと四カ月弱ですね。なんか早いものです。

ところで小中学生は夏休み終わりましたね。夏休みといえば読書感想文とかありましたよね。

近年の学生の読書感想文はどんなのかと思いネットで検索してみました。→第58回青少年読書感想文全国コンクール・中学生の部・最優秀賞

すごいなぁと只感心です。

「食べた」というより「食った」という表現、「世界が少し小さくなった」など、文章の上手さや感情を表す上での言葉の選び方も丁寧だと思いました。

題名も僕が中学生だったら絶対思いつかないでしょうね。
僕の題名は必ず「~を読んで」以外あり得なかったですからね…。

若い者に負けてられないです。って読書感想文で張り合っても仕方ないですけどね…


今日紹介する本は外国文学です。

モーム「月と六ペンス」(土屋政雄訳、光文社古典新訳文庫)

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新進作家の「私」と二人の画家との交流。
平凡なストルーブと天才ストリックランド。やがてストルーブに起こる悲劇。
一方ストリックランドは各地を転々としながら最後にタヒチにたどり着き作品を残しこの世を去る。

この小説は1919年の出版です。日本は大正8年ですね。約100年前の作品ですが、読み易く、あっという間に読み終えました。
でも読み易さから生じる軽さも感じました。誤解を恐れずに言えば、正直僕はそこまで名作とは思いませんでした。(偉そうですいません…)

それでも取り上げたのはモームの気持ち、作家という「表現者」としての気持ちが気になったからです。

モームは通俗作家と言われているそうです。
この小説の一つのテーマは「凡庸と非凡」だと思います。


「通俗」作家と揶揄されながらも商業的な成功を手にしているモーム。モームは作中の平凡な画家ストルーブを自身に投影したのかもしれません。そして一方では天才ストリックランドの絶対的な存在も感じていたと思います。

作中でストリックランドは世間や大衆に受け入れられぬまま世を去ります。しかし死後、ストリックランドを否定していたその世間や大衆によって再評価され、作品が高値で取引されるという皮肉な展開を見せます。

モームはこの作品で、「世間」の空虚さを描いたのかなと思いました。

「月と六ペンス」は当時ベストセラーになったそうです。モームは一般大衆に受けいれられる為の文章や技術を心得ていたのかもしれません。それが、自然にできたことか、敢えて出来たことか僕には分かりません。しかし、もし後者であるなら、作家としての虚しさも感じたのではないでしょうか。


お金や地位や名誉に無頓着なストリックランドを軸に描かれたこの作品。その作品が一般大衆に受け入れられるという皮肉。
なんか、だまし絵みたいです。

「月と六ペンス」がモームの「代表作」と言われてしまう現実は、モーム本人としてはどうなんでしょうか。

そんな事を感じました。


今回はここで以上です。

次回は来週月曜日の9月16日です。

読んで頂きありがとうございました。
by mamesyakuhachi | 2013-09-09 09:58 | モーム